でん
2025.10.05

黄麹が紡ぐ薩摩焼酎の原点
鹿児島県の伝統を受け継ぐ本格芋焼酎『伝』は、焼酎造りの原点ともいえる黄麹を用いた希少な逸品です。かつて南九州では清酒用の黄麹が主流でしたが、温暖な気候による腐造のリスクから次第に黒麹や白麹へと移行しました。「伝」はその黄麹仕込みを復活させ、杜氏の研ぎ澄まされた技と感性によって、繊細で華やかな香りと柔らかな口当たりを実現しています。
原料には鹿児島県産のさつまいも(黄金千貫)を使用。この芋は焼酎造りに最適とされ、蒸すだけで甘みが引き立つため、二次仕込みによってその旨みを最大限に引き出しています。仕込みには明治時代から続く甕(かめ)を使用し、甕内での自然な対流が発酵を均一に保ち、陶器の遠赤外線効果によってまろやかな味わいが生まれます。
さらに、蒸留には江戸時代から明治にかけて主流だった木桶蒸留器を再現。酸や熱に弱く、数年ごとに修理が必要なこの蒸留器を、鹿児島県内で唯一の木桶職人が丁寧にメンテナンスし、伝統の味を守り続けています。
「伝」は、ただの芋焼酎ではなく、時代を超えて受け継がれた技術と情熱が詰まった薩摩の文化そのもの。焼酎好きはもちろん、日本酒の香りを好む方や初心者にもおすすめできる、深みとやさしさを兼ね備えた一杯です。
■飲み方あれこれ!!
〇芋焼酎「伝」は、黄麹仕込みによる華やかな香りと、甕仕込み・木桶蒸留によるまろやかな味わいが特徴の本格焼酎です。
ロック:
氷を入れたグラスに注ぐだけで、香りと味の変化を楽しめます。氷が溶けるにつれて、芋の甘みと黄麹の華やかさが穏やかに広がります。ゆっくりと味わいたいときにぴったりです。
水割り:
芋の香りをほどよく感じながら、すっきりとした飲み口が楽しめます。天然水で割ると、よりまろやかで繊細な味わいになります。初めて「伝」を飲む方にもおすすめです。
お湯割り:
温めることで芋の香りがふわっと立ち上がり、口当たりもやさしくなります。寒い季節や、食事と合わせてゆったり飲みたいときに最適です。
前割り:
あらかじめ水で割って一晩寝かせることで、味がなじみ、よりまろやかな口当たりになります。陶器の器で温めると、香りが一層引き立ちます。
ソーダ割り:
爽快感のある飲み方で、黄麹の香りが軽やかに広がります。食前酒や暑い季節の一杯としてもおすすめです。
梅干し入りお湯割り:
お湯割りに梅干しを加えると、酸味と旨みが加わり、芋焼酎の風味が引き立ちます。しそ梅やかつお梅など、お好みの梅干しでアレンジできます。
▶「焼酎薩洲濱田屋伝兵衛蔵(濱田酒造)」のこと
「焼酎薩洲濱田屋伝兵衛蔵」は、「濱田酒造」が鹿児島県いちき串木野市に構える焼酎蔵のひとつであり、薩摩焼酎の伝統と精神を現代に伝える象徴的な存在です。「濱田酒造」は明治元年(1868年)創業の老舗で、150年以上にわたり焼酎造りに情熱を注ぎ続けてきました。その中でも「伝兵衛蔵」は、創業当時の製法を忠実に再現し、手づくりにこだわった本格焼酎を生み出すために設けられた特別な蔵です。
この蔵の焼酎造りの最大の特徴は、昔ながらの「甕仕込み」「木桶蒸留」「甕貯蔵」という三つの伝統技法を守り続けている点にあります。まず、仕込みには陶器製の甕を使用。甕の中では自然な対流が起こり、発酵が均一に進むことで、まろやかで深みのある味わいが育まれます。蒸留には、蒸気吹き込み式の木桶蒸留器を使用しており、これは江戸から明治期にかけて主流だった設備。木桶は酸や熱に弱く、定期的な修理が必要ですが、その分焼酎に独特の柔らかさと香りを与えるとされています。日本酒や味噌などの発酵食品に使われる伝統的な
さらに、「伝兵衛蔵」では黄麹を用いた焼酎造りにも力を入れています。黄麹は日本酒や味噌などの発酵食品に使われる伝統的な麹菌で、華やかな香りと繊細な味わいを生み出しますが、雑菌に弱く管理が難しいため、焼酎ではあまり使われてきませんでした。「濱田酒造」はこの黄麹仕込みを復活させ、杜氏の高度な技術によって、香り高く上品な焼酎を造り上げています。
焼酎造りはすべて手作業で行われており、その日の天候や湿度、温度に細心の注意を払いながら、蔵人たちは五感を研ぎ澄ませて焼酎と向き合います。機械化が進む現代において、こうした手づくりの姿勢は非常に貴重であり、焼酎に込められた職人の思いが飲む人の心に響きます。
また、「伝兵衛蔵」は見学可能な開かれた蔵としても知られており、売店での試飲や購入、隣接する食事処での焼酎とのペアリング体験など、薩摩焼酎の魅力を五感で味わえる場として多くの人々に親しまれています。
伝統と革新が融合した「焼酎薩洲濱田屋伝兵衛蔵」は、単なる酒造施設ではなく、薩摩の文化と焼酎のルーツを体感できる場所。「濱田酒造」の誇りと技術が息づくこの蔵は、これからも本格焼酎の未来を照らし続けることでしょう。
▶「焼酎薩洲濱田屋伝兵衛蔵(濱田酒造)」の歴史(年表)
1868年(明治元年):
「濱田酒造」が鹿児島県いちき串木野市で創業。薩摩焼酎の伝統を受け継ぎながら、地域に根ざした酒造りを開始した。
2001年(平成13年):
創業の地に「焼酎薩洲濱田屋伝兵衛蔵」が開業。昔ながらの甕仕込み・木桶蒸留・甕貯蔵による本格焼酎造りを再現する蔵としてスタートした。
2006年(平成18年)1月末:
伝兵衛蔵の一部である仕込み工程の施設が火災により焼失(※)。焼酎の仕込み活動が一時中止される事態となった。
2017年(平成29年):
「濱田酒造」創業150周年を迎え、伝兵衛蔵の全館改装を含む記念事業が進められた。伝統と革新を融合させた蔵づくりが強化された。
2018年(平成30年)4月末:
改装を終えた伝兵衛蔵がグランドオープン。見学蔵としての機能が充実し、観光客向けの施設としても注目を集めるようになった。
2021年(令和3年)4月22日:
伝兵衛蔵は開業20周年を迎える。記念イベントとして「伝兵衛蔵開業20周年 オンライン蔵祭」が開催(※2)され、ZoomとYouTubeで配信された。
2023年(令和5年)3月18日:
蔵見学の再開が発表され、事前予約制で一般公開が再開。焼酎文化を体感できる場として、地域内外からの来訪者を迎えている。
■伝兵衛蔵の一部である仕込み工程の施設が火災により焼失(※)
〇2006年1月末、「焼酎薩洲濱田屋伝兵衛蔵」の仕込み工程の一部が火災によって焼失しました。これは、地元の古い木造校舎や郵便局などを移築して仕込み蔵として使用していた部分で、伝統的な建築と焼酎造りの融合を象徴する空間でした。この火災により、仕込み活動は一時中止を余儀なくされましたが、蔵はただ復旧するだけではなく、蒸留時に生まれるお湯を活用した庭園を新設するという創造的な再生を遂げました。残った木造建築の内部は大胆に改装され、同年9月には蔵としての再開を果たします。
■「伝兵衛蔵開業20周年 オンライン蔵祭」が開催(※2)
〇2021年には「伝兵衛蔵」開業20周年を記念して、オンライン蔵祭が開催されました。ZoomとYouTubeを活用し、バーチャル蔵見学やトークショー、テイスティング講座などが行われ、鹿児島出身の歌手・西田あいさんやタレント・乾き亭げそ太郎さんも出演しました。このイベントは、コロナ禍でも焼酎文化を広く伝えようとする「濱田酒造」の柔軟な発信力と、蔵の魅力を多くの人に届けたいという思いが詰まった取り組みでした。
Data
生産者:v株式会社(焼酎薩洲濱田屋伝兵衛蔵)
住所: 鹿児島県いちき串木野市別府4280
創業:1868年(明治元年)
TEL:0996-32-3131
URL: https://www.hamadasyuzou.co.jp/denbee/ (濱田酒造公式サイト:直接注文可)
原料:さつまいも(鹿児島県産黄金千貫)/米麹(黄)
蒸留方式: 常圧蒸留(木桶蒸留・蒸気吹き込み式)
アルコール度数: 25度
容量: 300ml(瓶)、720ml(瓶)、1800ml(瓶)
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