十水 大山 特別純米酒

とみず おおやま とくべつじゅんまいしゅ

2026.06.20

素材を生かした料理と調和する食中酒

『十水 大山 特別純米酒』は、伝統的な“十水仕込み”によって生まれる、米の旨みと透明感を両立させた一本です。十水仕込みとは、通常より少ない仕込み水で醸す古式の製法で、米の成分がより濃く引き出されるのが特徴。この酒もその例に漏れず、ふくよかな旨みを持ちながら、加藤嘉八郎酒造らしい清らかで端正な味わいがしっかりと息づいています。

口に含むと、まずやわらかな甘みが広がり、続いて米の旨みがじんわりと膨らみます。重たさはなく、むしろ十水仕込み特有の“密度のある軽快さ”が心地よく、飲み進めるほどに味の奥行きが感じられます。後口はきれいに切れ、余韻には米の香りが静かに残るため、食中酒として非常に優秀です。特に、白身魚の刺身、塩焼きの焼き鳥、だしを生かした煮物など、素材の味を大切にした料理とよく調和します。

温度帯によって表情が変わるのも魅力で、冷酒では透明感と軽快さが際立ち、常温では旨みがふくらみ、ぬる燗にすると柔らかさと深みが増します。食卓に寄り添いながらも、しっかりとした存在感を放つ“上質な普段酒”として楽しめる特別純米酒です。

■飲み方あれこれ!!

ぬる燗(40℃):

十水仕込みの濃密な旨みが最もやわらかく開き、米の甘みとコクがふくらむ温度帯です。角が取れ、味のまとまりが非常によく、余韻も穏やかに続きます。食中酒としてのバランスが際立ち、料理との相性が一段と高まります。

常温(20℃):

米の旨みと透明感の両方が自然に感じられ、十水仕込みらしい密度のある味わいが素直に伝わります。香りは控えめながら上品で、飲み疲れしない落ち着いた表情を見せます。食材の味を邪魔せず寄り添う万能の温度帯です。

涼冷え(15℃):

冷やすことでキレが増し、透明感と軽快さが際立ちます。旨みは引き締まり、後口はすっきりとした印象に。刺身や淡い味付けの料理と合わせると、酒の清らかさがより鮮明に感じられます。

おすすめのマリアージュ

●白身魚の刺身:

透明感のある味わいと軽快なキレが、白身魚の繊細な旨みを邪魔せず引き立てます。酒の清らかさが後口をすっと整え、素材の甘みがより鮮明に感じられます。

●塩焼きの焼き鳥:

十水仕込み由来の濃密な旨みが、鶏の脂の甘みと心地よく重なります。塩味との相性が良く、後口のきれいな余韻が全体を軽やかにまとめます。

●だしを生かした煮物:

米の旨みと柔らかい甘みが、だしの旨みと自然に調和します。ぬる燗にすると味の一体感が増し、料理の深みをより豊かに感じられます。

●湯豆腐:

優しい旨みと透明感のある味わいが、豆腐のまろやかさと絶妙にマッチします。後口の清らかさが口中を整え、次の一口を心地よく誘います。

●鯖の味噌煮:

濃密な旨みが味噌のコクと寄り添い、酒の軽快さが後味を重たくさせません。温度帯は常温〜ぬる燗が特に相性良好です。

▶「加藤嘉八郎酒造株式会社」のこと

「加藤嘉八郎酒造株式会社」は、山形県鶴岡市大山に蔵を構える酒造で、1872年(明治5年)に創業した歴史ある酒蔵である。大山は古くから酒造りが盛んな地域で、江戸期には「大山三業」と呼ばれるほど酒造・芸能・商業が発展した土地であり、その文化的土壌の中で同社も成長してきた。創業当初は地域の米と水を生かした素朴な酒造りを行っていたが、明治後期から大正期にかけては設備の近代化を進め、安定した品質の酒を供給する蔵として地元に定着していった。

同社の酒造りの根幹にあるのは、清冽な大山の伏流水と、庄内平野で育つ良質な酒米である。特に水は軟水で、きめ細かく柔らかな酒質を生み出すのに適しており、同社の酒の“やさしい旨み”の基盤となっている。また、伝統的な手造りの技を重んじながらも、温度管理や衛生管理など現代的な醸造技術を積極的に取り入れ、安定した酒質と透明感のある味わいを両立させてきた点も特徴である。

代表銘柄「大山」シリーズは、米の旨みを丁寧に引き出した端正な味わいが持ち味で、特に純米系の酒は食中酒として高い評価を得ている。また、古式の「十水仕込み」を復活させた商品もあり、伝統技法を現代の感性で磨き上げる姿勢が同社の個性を際立たせている。十水仕込みは仕込み水を通常より少なくするため、米の旨みが濃く、密度のある味わいが生まれるが、同社はそれを重たくせず、透明感と軽快さを両立させる点に技術力の高さが表れている。

さらに、地元農家との連携を深め、契約栽培米の使用や地域資源の活用(※)にも力を入れており、“庄内の風土を映す酒”としての存在感を強めている。近年は国内外の鑑評会でも評価を高め、海外輸出にも取り組むなど、伝統を守りながら新しい市場へ挑戦する姿勢も見られる。

⇒契約栽培米の使用や地域資源の活用(※)

〇同社は早くから契約栽培米の導入に取り組み、地元農家とともに酒米の品質向上を進めてきた。庄内平野の気候や土壌を理解した農家との協働は、安定した原料確保だけでなく、地域の風土をそのまま酒に映し出すという理念にもつながっている。単なる“地酒”ではなく、“土地の個性を表現する酒”を目指す姿勢は、蔵の大きな特徴であり、地域と共に歩む酒造りの象徴的エピソードといえる。

このように、「加藤嘉八郎酒造株式会社」は、150年近い歴史の中で培った技と地域の恵みを生かし、伝統と革新を調和させた酒造りを続ける蔵である。

▶「加藤嘉八郎酒造株式会社」の歴史(年表)

1872年(明治5年):

「加藤嘉八郎酒造株式会社」の前身が山形県鶴岡市大山にて創業し、地域の米と水を生かした酒造りを開始した。

明治後期(1890年代〜1910年代):

大山地域の酒造文化の発展とともに設備の整備を進め、安定した品質の酒を供給する蔵として地元に定着した。

1920年代(大正期〜昭和初期):

麹造りや発酵管理の技術を改良し、手造りを基本としながらも近代的な醸造設備を導入して生産体制を強化した。

1945年(昭和20年):

戦後の原料不足や設備損耗の影響を受けつつも、地域の需要に応える形で酒造りを継続し、蔵の基盤を守り抜いた。

1960年代(昭和30〜40年代):

温度管理設備の導入や衛生管理の徹底により、安定した酒質を実現し、蔵としての評価を高める転機となった。

1980年代(昭和後期):

吟醸酒ブームの到来に合わせて麹室の改良や発酵技術の精密化を進め、香味の整った酒質を追求する体制を確立した。

1990年代(平成初期):

純米酒への需要増加を背景に純米造りの比率を高め、米の旨みを生かした酒質を中心としたブランド展開を進めた。

2000年代(平成中期):

古式の「十水仕込み」を現代的に再構築し、伝統技法を生かした新たな商品づくりに取り組み、蔵の個性を強めた。

2010年代(平成後期):

地元農家との契約栽培を拡大し、庄内の風土を映す酒造りを深化させるとともに、国内外の鑑評会で評価を高めた。

2020年代(令和期):

海外輸出にも力を入れ、伝統と革新を両立させた酒造りを軸に、国際的な日本酒市場で存在感を高め続けている。

Data

生産者:加藤嘉八郎酒造株式会社

住所:山形県鶴岡市大山3-1-38

創業:1872年(明治5年)

TEL:0235-33-2008

URLhttps://www.sake-ohyama.co.jp/ ((加藤嘉八郎酒造公式サイト・直接注文不可)

特定名称:特別純米酒

原料米&精米歩合:麹米・掛米ともに山形県産はえぬき60%

アルコール度数:15%

酵母:

日本酒度:-5.5〜-4.5

酸度:1.55〜1.65

容量:300ml(瓶)、720ml(瓶)、1800ml(瓶)

 

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