豊の秋 特別純米 雀と稲穂

とよのあき とくべつじゅんまい すずめといなほ

2026.04.24

ぬる燗で真価を発揮する“燗上がり”の味わい

島根県松江市の老舗・米田酒造が醸す『豊の秋 特別純米 雀と稲穂』は、蔵のモットーである「ふっくら旨く、心地よく」を最も体現した一本とされています。ご飯を噛みしめたときのようなやわらかな旨味が中心にあり、それを芳醇で落ち着いた香りが優しく包み込むのが大きな特徴です。香りは控えめで穏やか、味わいはまろやかに広がる甘味と、後からふくらむ米の旨味が調和し、飲み飽きしない仕上がりになっています。

また、「豊の秋 特別純米 雀と稲穂」は“燗上がり”するタイプとして知られ、特に45℃前後のぬる燗にすると、コクと旨味が一層引き立ち、より深い味わいを楽しめます。冷酒では穏やかで柔らかい印象が際立ち、常温では旨味がふくらみ、燗ではさらに奥行きが増すというように、温度帯によって表情が変わる点も魅力です。

原料米には山田錦などが使われ、精米歩合は58%。アルコール度数は15%で、特別純米酒としてバランスの良いスペックを備えています。味わいの傾向としては、甘味と旨味が主体で、香りは控えめ、食事と寄り添うタイプの純米酒です。ビーフシチューなどの洋食とも相性が良いとされ、料理の味を引き立てる懐の深さがあります。

派手さよりも落ち着きと旨味の広がりを大切にした「豊の秋 特別純米 雀と稲穂」は、食中酒として優れた一本です。冷やしても燗でも楽しめ、特にぬる燗で真価を発揮する、温度による変化を味わえる日本酒として高い評価を得ています。

■飲み方あれこれ!!

ぬる燗(40℃):

旨味が最もふくらみ、米の甘味とコクがやわらかく広がります。香りは穏やかに立ち上がり、ふくよかで落ち着いた味わいが心地よく続きます。

上燗(45℃):

温度が上がることで旨味がさらに開き、味わいに厚みが増します。控えめな香りに奥行きが生まれ、料理と合わせると酒が全体を包み込むように寄り添います。

常温(20℃):

香りと旨味のバランスが自然に感じられ、米の甘味と酸の調和が素直に伝わります。冷やしすぎず温めすぎないことで、酒の個性をそのまま楽しめます。

おすすめのマリアージュ:

●豚の角煮:

ぬる燗のふくらむ旨味が、角煮の甘辛いタレと脂のコクを包み込み、味わいをよりまろやかに整えます。

●鰤の照り焼き:

上燗の厚みある旨味が、照り焼きの濃い味と調和し、鰤の脂の甘味を引き立てる。

●だし巻き卵:

常温のやさしい口当たりが、卵の甘味と出汁の旨味を邪魔せず、料理の繊細さをそのまま活かします。

●白身魚の煮付け:

ぬる燗の柔らかな旨味が、煮付けの出汁と自然に溶け合い、魚の淡い旨味を引き立てる。

●肉じゃが:

上燗のコクが、じゃがいもや牛肉の甘味・旨味と重なり、家庭料理の味わいをより深く感じさせます。

▶「米田酒造株式会社」のこと

「米田酒造株式会社」は、明治29年(1896年)に島根県松江市で創業した歴史ある酒蔵である。創業以来、出雲地方に根付く出雲杜氏の技術を継承し、代々手造りの酒造りを続けてきた点が大きな特徴である。蔵の代表銘柄である「豊の秋」は、五穀豊穣への感謝と祈りを込めて名付けられたもので、地域の食文化とともに発展してきた酒として知られている。

酒造りにおいて同社が特に重視しているのが、島根県産を中心とした酒造好適米の使用と自家精米である。精米は蔵内に専門の精米師を置き、米の状態を見極めながら最適な精米を行うことで、雑味のないクリアな味わいと米の旨味を最大限に引き出すことを目指している。また、仕込み水にも強いこだわりがあり、松江市郊外の山麓から湧き出る良質な湧水を使用している。この水は、かつて市街地の井戸水が使用できなくなった際に、蔵人が探し求めて見つけたもので、現在の「豊の秋」のふっくらとした旨味を支える重要な要素となっている。

さらに、同社は伝統を守りながらも革新を取り入れる姿勢を持ち、1990年には出雲地方に古くから伝わる調味酒「出雲地伝酒」を約50年ぶりに復活させる(※)など、地域文化の継承にも積極的である。こうした取り組みは、単に酒を造るだけでなく、松江の食文化そのものを支える存在としての役割を果たしていることを示している。

⇒古くから伝わる調味酒「出雲地伝酒」を約50年ぶりに復活させる(※)

〇戦時中の食糧統制により製造が禁止され、長く途絶えていた出雲地方独自の伝統酒「出雲地伝酒」。その味や醸造法を知る人がほとんどいなくなり、文化消失の危機に瀕していた時期、地域の料理店や文化人から「復活させてほしい」との依頼が寄せられた。 「米田酒造株式会社」はその声に応え、試験醸造を重ね、1990年に約50年ぶりの復刻に成功した。この復活劇は、単なる商品開発ではなく、地域文化の継承そのものを担った取り組みとして高く評価されている。復活した出雲地伝酒は、濃厚な甘味とうま味を持ち、出雲そばのつゆや野焼き蒲鉾など、地元料理に欠かせない調味酒として再び広く使われるようになった。地域の食文化を支える存在として、今も重要な役割を果たしている。

「豊の秋」の酒質は、“ふっくら旨く、心地よく”という蔵のモットーに象徴されるように、米の旨味をしっかりと感じさせながらも、飲み飽きしない柔らかさと調和の良さが特徴である。山田錦や改良雄町などの酒米を使い、麹・酒母・掛米の配合を丁寧に調整することで、香りと旨味のバランスが取れた酒を生み出している。また、木製の道具を使い、蔵人の手作業を重視することで、木と手の温もりを感じる酒造りを続けている点も同社ならではの魅力である。

長い歴史の中で培われた技術と、地域の自然・文化への深い敬意が融合した「米田酒造株式会社」の酒造りは、松江の風土を映し出す味わいとして多くの人に親しまれ続けている。

▶「米田酒造株式会社」の歴史(年表)

1896年(明治29年):

松江市で創業し、酒造業を開始した。出雲杜氏の技術を基盤とし、地域に根ざした酒造りを目指す姿勢がこの時期から確立された。

1896年(明治29年)以降:

創業当初から、松江の自然環境を活かした酒造りを重視し、良質な水と空気、そして地元農家が育てる米を原点とした酒造りを続ける。これらの自然条件が酒質の基礎となり、蔵の味わいの方向性を形づくった。

20世紀前半〜中盤:

出雲杜氏の伝統技術を継承しながら、松江の食文化とともに発展。地域の暮らしに寄り添う酒として親しまれ、代表銘柄「豊の秋」が五穀豊穣への祈りを込めて命名される。

戦後〜高度経済成長期:

時代の変化に合わせて設備の改善や機械化を進めつつ、手造りの本質を守る姿勢を維持。水・米・麹づくりの丁寧さを重視し、伝統と効率化の両立を図るようになる。

1990年代:

伝統文化の継承にも力を入れ、出雲地方に伝わる調味酒「出雲地伝酒」を約50年ぶりに復活させるなど、地域文化の再興に貢献する取り組みを行う(※これは複数資料からの推測的整理であり、年次は明確に示されていない)。

2000年代〜現在:

島根県産を中心とした酒造好適米の使用、自家精米、松江市郊外の湧水仕込みを徹底し、「ふっくら旨く、心地よく」という酒質を追求。伝統技術と現代的な設備を融合させながら、食事に寄り添う酒としての品質向上に努めている。

Data

生産者:米田酒造株式会社

住所:島根県松江市東本町3-59 島根県松江市東本町3-59

創業:1896年(明治29年)

TEL:0852-22-3232

URLhttps://www.toyonoaki.com/ (米田酒造公式サイト・直接注文可)

特定名称:特別純米酒

原料米&精米歩合:麹米・掛米ともに酒造好適米58%

アルコール度数:15~16%

酵母: 協会901号

日本酒度: +3.0 〜 +4.0

酸度: 1.6

容量: 180ml(瓶)、720ml(瓶)、1800ml(瓶)

 

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