かもつる だいぎんほう
2025.09.03

広島吟醸の魂が息づく一本
広島県東広島市・西条に蔵を構える賀茂鶴酒造が醸す『賀茂鶴 大吟峰』は、純米大吟醸酒の頂点を目指して造られた逸品です。酒米には、酒造好適米の最高峰とされる「山田錦」を100%使用。広島県高屋町造賀地区の標高約350mの高原盆地で育てられた地元産の山田錦は、昼夜の寒暖差と清らかな水に恵まれ、酒造りに理想的な環境で育まれています。
精米歩合は50%。米の中心部のみを使用することで、雑味を抑え、繊細で上品な味わいを実現。寒中に丹念に仕込まれた酒は、華やかな吟醸香と、純米酒ならではのふくよかな旨味が見事に調和しています。口に含むと、やわらかな甘みとともに、凛とした酸が全体を引き締め、余韻には峰を仰ぐような気高さが残ります。
「大吟峰」という名には、“大吟醸の峰=頂点”を目指すという造り手の想いが込められており、木箱入りのパッケージもその品格を物語ります。冷酒や冷やで飲むことで、その香味の繊細さが最大限に引き立ち、祝いの席や贈答品としても最適です。
賀茂鶴酒造は、明治6年創業の老舗でありながら、革新を恐れず、広島吟醸造りの伝統を守り続けています。「大吟峰」はその技術と哲学の結晶とも言える一本。日本酒の美しさと奥深さを体現する、まさに“峰”の名にふさわしい酒です。
■飲み方あれこれ!!
〇「賀茂鶴 大吟峰」は繊細な香味と品格を備えた純米大吟醸酒なので、飲み方にも少しこだわることで、その魅力が最大限に引き立ちます。温度帯は冷酒〜冷や(10〜20℃)がベストです。
冷酒(5〜10℃):
華やかな吟醸香が際立ち、フルーティで上品な香りを楽しめます。
冷や(10〜20℃):
旨味と酸味のバランスが整い、ふくよかな味わいが広がります。
※熱燗は香りが飛びやすく、繊細な味わいが損なわれるためおすすめしません。
ワイングラス:
香りを立体的に感じられ、受賞歴にもあるように「ワイングラスでおいしい日本酒」として評価されています。
薄手のガラス製ぐい呑み:
冷酒の清涼感を引き立て、見た目にも美しい。
▶「賀茂鶴酒造株式会社」のこと
広島県東広島市西条に本社を構える「賀茂鶴酒造株式会社」は、明治6年(1873年)創業の老舗酒蔵であり、日本酒の品質向上とブランド構築において先駆的な役割を果たしてきました。創業者・木村和平翁は、賀茂郡の米・水・気候が酒造りに適していることに着目し、灘で修業した醸造技術を活かして酒造業を開始。「賀茂鶴」という酒銘は、地名の「賀茂」と、気高く縁起の良い「鶴」を組み合わせたもので、酒造りへの志と品格を象徴しています。
明治末期から大正期にかけて、後継者である木村静彦翁が技術革新を推進。1898年には日本初の国産動力精米機を導入し、精米歩合75%という当時としては画期的な吟醸酒を開発。さらに、硬水が主流だった酒造業界において、広島の軟水を活かした「軟水醸造法」の確立にも貢献しました。この技術は、安芸津の三浦仙三郎氏との協力によって実現され、広島酒の品質向上と全国的な評価につながります。
「賀茂鶴酒造」は、早くからブランド戦略にも注力。明治28年には酒造業界初の新聞広告を打ち出し、フランス・パリ万国博覧会で名誉大賞を受賞するなど、国内外での知名度を高めました。1918年には法人化し、賀茂鶴酒造株式会社として新たな体制を築き、戦前・戦後を通じて7つの醸造蔵を構えるまでに成長。昭和期には、金箔入りの「特製ゴールド賀茂鶴」が全国的な人気を博し、大吟醸酒の先駆けとしての地位を確立しました。
酒造りにおいては「品質第一」を社是とし、すべての商品を自家精米・自家醸造で仕上げています。特に吟醸酒以上の特定名称酒は、伝統的な木製甑(こしき)を用いて蒸米を行い、蔵人の手仕事によって丁寧に醸されています。広島の軟水と地元産の酒米、そして杜氏の技術が融合することで、華やかな香りと繊細な味わいを持つ酒が生まれます。
「賀茂鶴酒造」は、単なる酒造業者ではなく、広島酒文化の象徴として、地域社会や日本酒業界の発展にも大きく貢献してきました。その歴史と技術は、今もなお「賀茂鶴」の一滴に息づいています。
▶「賀茂鶴酒造株式会社」の歴史(年表)
1873年(明治6年)9月9日
木村和平翁が「賀茂鶴」の酒銘を命名し、酒造りを開始。創業日として重陽の節句を選定。
1892年(明治25年)
木村静彦翁が後継者として就任。技術革新とブランド戦略を推進。
1894年(明治27年)
山陽鉄道(現JR)開通により、西条駅が誕生。東京方面への出荷が本格化。
1895年(明治28年)
中国地方第1回品評会で第1位を獲得。酒造業界初の新聞広告を掲載。
1898年(明治31年)
日本初の国産動力精米機を導入。精米歩合75%の“吟醸物”を開発。三浦仙三郎氏の「軟水醸造法」を導入(※)し、広島酒の品質向上に貢献。
1900年(明治33年)
パリ万国博覧会で名誉大賞を受賞。海外輸出(ハワイ、台湾など)を開始。
1909年(明治42年)
東京・日本橋に支店を開設。首都圏での販路を拡大。
1917年(大正6年)
第6回全国酒類品評会で全国初の名誉賞を受賞。
1918年(大正7年)8月28日
「賀茂鶴酒造株式会社」として法人化。木村静彦翁が初代社長に就任。
1926年(大正15年)
第10回全国酒類品評会で全国初の2回目の名誉賞を受賞。
1935年(昭和10年)
佐々木英夫氏が2代目社長に就任。戦艦大和への酒納入など、軍用酒の供給を担う。
1958年(昭和33年)
金箔入り大吟醸「特製ゴールド賀茂鶴」を発売(※2)。全国的な知名度を獲得。
1988年(昭和63年)
創業者・木村静彦翁の銅像を再建。法人設立70周年記念事業の一環。
■三浦仙三郎氏の「軟水醸造法」を導入(※)
〇三浦仙三郎氏が確立した「軟水醸造法」は、広島の軟水に適した日本酒の醸造技術であり、明治時代の酒造りに大きな革新をもたらした方法です。
当時の酒造業界では、ミネラル分を多く含む硬水が酒造りに適しているとされており、灘の「宮水」がその代表例でした。硬水は酵母の発酵を促進し、安定した酒造りを可能にする一方で、広島の水は軟水であるため、酵母の働きが弱まり、腐造(酒が腐ること)が頻発していました。
三浦仙三郎氏はこの課題に真正面から取り組み、灘の酒造法を学んだ上で、広島の軟水に適した独自の醸造技術を開発しました。これが「軟水醸造法」です。
この醸造法の主な特徴は以下の通りです:
麹の育成を重視し、米の内部まで麹菌が浸透するように工夫することで、糖化を促進します。
低温での発酵管理を徹底し、腐敗を防ぎながら、繊細な香りと味わいを引き出します。
「七・九・十法」と呼ばれる温度管理技術を導入し、酒母、醪、麹の最高温度をそれぞれ華氏70度(約21℃)、90度(約32℃)、100度(約38℃)に設定することで、軟水でも安定した発酵を実現しました。
この技術により、広島の酒は「女酒」と呼ばれる、まろやかで香り高いスタイルへと進化しました。1907年の全国清酒品評会では、広島の酒が上位を独占するほどの高評価を得ています。
三浦仙三郎氏の功績は、単なる技術革新にとどまらず、科学的な酒造りの先駆けとして、現代の吟醸酒の礎を築いた点にあります。そのため、彼は「吟醸酒の父」と称されることもあります。
■金箔入り大吟醸「特製ゴールド賀茂鶴」を発売(※2)
〇1958年(昭和33年)、鑑評会用に造られていた大吟醸酒を一般向けに商品化した「特製ゴールド賀茂鶴」は、業界初の試みでした。桜の花びら型の金箔をあしらった華やかな酒は、祝いの席や贈答品として人気を博し、大吟醸というカテゴリーの市民権を広げるきっかけとなりました。
Data
生産者:賀茂鶴酒造株式会社
住所:広島県東広島市西条本町4-31
創業:1873年(明治6)年
TEL:082-422-2122
URL:https://www.kamotsuru.jp/company/outline/ (直接注文可)
特定名称:純米大吟醸酒
原料米&精米歩合:麹米・掛米ともに広島県産山田錦100%
アルコール度数:15.0%
酵母: ―
日本酒度:±3
酸度: 1.3
容量: 720ml(木箱入り)、1800ml(化粧箱入り)
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