さくらむろまち じゅんまいしゅ けいやくさいばいまいせとおまち
2026.06.05
瀬戸雄町の力強さを素直に引き出したふくらみある味わい
『櫻室町 純米酒 契約栽培米瀬戸雄町』は、岡山県赤磐市の老舗蔵「室町酒造」が、地元農家と契約栽培した瀬戸地区産雄町米を100%使用して醸す純米酒である。雄町米は“酒米のルーツ”と呼ばれ、ふくらみのある旨味と奥行きのある味わいを生むことで知られるが、その中でも瀬戸地区の雄町は特に品質が高く、力強さと繊細さを併せ持つ酒質を生み出す。蔵は1688年創業の歴史を持ち、伝統的な手造りの技を守りながら、米の個性を最大限に引き出す丁寧な酒造りを続けている。
味わいは、雄町米らしい豊かな旨味と、純米酒ならではの米の甘みがしっかりと感じられる構成が特徴である。口に含むと、柔らかく広がる旨味の層がありながら、後味には軽やかなキレがあり、飲み疲れしないバランスの良さが際立つ。香りは穏やかで、米の自然な香りが中心となり、派手さよりも落ち着きと品の良さを感じさせるタイプである。冷酒ではすっきりとした印象が強まり、常温では旨味がふくらみ、ぬる燗にすると雄町米のコクが最も豊かに感じられる。
「櫻室町 純米酒 契約栽培米瀬戸雄町」の魅力は、契約栽培米ならではの“米の顔が見える酒造り”にある。瀬戸地区の雄町米は粒が大きく、心白がしっかりしているため、麹づくりに適しており、酒に深い旨味をもたらす。室町酒造はこの米の特性を生かすため、麹づくりから発酵管理まで細やかな温度調整を行い、雑味を抑えつつ米の旨味を最大限に引き出す造りを徹底している。その結果、雄町米の魅力を素直に表現した、飲み飽きしない純米酒に仕上がっている。
食との相性も幅広く、白身魚の刺身や湯豆腐などの繊細な料理から、焼き鳥(塩)、煮物などの旨味を生かした料理まで、和食全般に寄り添う万能性を持つ。特にぬる燗で楽しむと、雄町米のふくらみが料理の旨味を包み込み、食中酒としての実力が際立つ。
「櫻室町 純米酒 契約栽培米瀬戸雄町」は、瀬戸雄町の力強さと室町酒造の伝統技術が融合した、米の旨味をじっくり味わえる純米酒である。特別な華やかさよりも、日々の食卓に寄り添う深い満足感を与えてくれる一本といえる。
■飲み方あれこれ!!
ぬる燗(40℃):
瀬戸雄町のふくらみある旨味が最も自然に開き、柔らかな甘みと落ち着いた香りが調和します。雑味のない丸みが心地よく、食中酒としての実力が最も引き立つ温度帯です。
常温(20℃):
米の旨味と純米酒らしい穏やかな香りがバランスよく感じられます。瀬戸雄町の厚みが素直に広がり、後味には軽やかなキレが残り、飲み飽きしない安定した味わいになります。
花冷え(10℃):
冷やすことで香りは控えめになり、すっきりとした飲み口が際立ちます。旨味はやや引き締まり、清涼感のある印象に変わり、軽快に楽しめる食中向けの表情が現れます。
おすすめのマリアージュ
●白身魚の刺身(鯛・平目):
瀬戸雄町の柔らかな旨味が、白身魚の繊細な甘みをふんわりと引き立てます。香りは控えめに寄り添い、後味のキレが素材の清らかさをそのまま残してくれます。
●湯豆腐:
純米酒らしい穏やかな香りと米の甘みが、湯豆腐のやさしい旨味と見事に調和します。ぬる燗にすると酒のふくらみが増し、豆腐の滑らかさを包み込むような一体感が生まれます。
●焼き鳥(塩):
瀬戸雄町の厚みある旨味が、塩味の焼き鳥の香ばしさと相性抜群です。常温〜ぬる燗では旨味がより開き、鶏の脂を軽やかに受け止めながら、後味はすっきりと切れていきます。
●鰆の西京焼き:
米の甘みと穏やかな香りが、西京味噌の甘じょっぱさと美しく重なります。酒の丸みが味噌のコクを柔らかく広げ、余韻には上品な旨味が残ります。
●だし巻き卵:
優しい甘みとふくらみのある旨味が、だし巻きの出汁の香りと自然に溶け合います。冷やしても温めても相性が良く、食中酒としての万能さが際立つ組み合わせです。
▶「室町酒造株式会社」のこと
「室町酒造株式会社」は、1688年(元禄元年)創業と伝わる岡山県赤磐市の老舗酒蔵で、現存する岡山の蔵元の中でも最古級の歴史を持つ(※)。創業当初、花房家は庄屋として地域を治めながら、余剰米を活用して酒造りを始めたとされ、江戸期から明治にかけては地主業・金融業も兼ねつつ、酒造業を本格化させていった。明治期には七代目・花房寶吉の代で大きく発展し、1891年の全国酒類製造石数番付では“千石酒屋”として名を連ねるほどの規模に成長した。
⇒岡山の蔵元の中でも最古級の歴史を持つ(※)
〇明治〜大正期に整備された蔵や土蔵は、現在も現役で使用されており、地域の歴史的景観を形成する建造物として評価されている。古い梁や土壁を残しながら現代の酒造りを行う姿勢は、訪問者にも強い印象を与える。
その後も花房家は代々酒造りを継承し、地元赤磐の風土を生かした酒造りを深化させていく。特に同社の象徴となるのが、岡山が誇る酒米「雄町米」である。雄町米は唯一の純血種で栽培が難しいが、芳醇でコクのある味わいを生む酒米として知られ、同社は早くからこの米に着目し、契約栽培や地域農家との連携を通じて品質向上に努めてきた。また仕込み水には、日本の名水百選に選ばれた「雄町の冷泉」(※2)を使用。旭川の伏流水が湧き出るこの水は、柔らかく清らかな性質を持ち、雄町米の旨味を引き出す理想的な水として評価されている。
⇒日本の名水百選に選ばれた「雄町の冷泉」(※2)
〇「室町酒造」は、日本の名水百選に選ばれた“雄町の冷泉”を仕込み水として使用しているが、この湧水は地域の生活用水としても重要であり、蔵は長年にわたり水源保全活動に深く関わってきた。地元住民と協力し、水質維持のための環境整備を続けてきたことは、蔵の酒造りの根幹を支える象徴的な取り組みとして語られている。
現在の「室町酒造株式会社」は、伝統的な手造りの技を守りながら、吟醸造りの技術を磨き続け、国内外の酒類コンテストで数多くの受賞歴を誇る蔵へと発展している。代表銘柄「室町時代」「備前幻」「櫻室町」などは、雄町米の個性を最大限に生かした酒として高い評価を受け、ヨーロッパやアメリカなど海外市場でも存在感を示している。300年以上の歴史を背景に、米・水・技の三位一体を追求し続ける姿勢こそが、同社の酒造りの最大の特徴である。
▶「室町酒造株式会社」の歴史(年表)
1688年(元禄元年):
花房家が池田藩の大庄屋を務めていた時代、余剰米を活用して酒造りを始めたと伝わる。これが「室町酒造株式会社」の起源とされ、岡山県内で現存する最古級の酒蔵となる。
1830〜1844年(天保年間):
藩財政が逼迫した池田藩に花房家が資金を貸し、その返済として年貢米を受け取った記録が残る。この米が酒造りに用いられたと伝えられ、蔵の発展に寄与した。
1891年(明治24年):
七代目・花房寶吉の時代、全国酒類製造石数番付において1,577石を醸す“千石酒屋”として名を連ねるほどの規模に成長。蔵の基盤が大きく確立した時期となる。
1900年代前半(明治〜昭和初期):
花房家の嫡男・卯一郎が蔵の中興を担い、銘酒「敬花」などが品評会で高い評価を受ける。蔵の建物や土蔵もこの時期に整備され、現在の蔵の姿の基礎が形づくられた。
戦前〜戦後(昭和期):
戦前は「室町」の銘柄が日本橋三越の手印商品として扱われていたが、戦時中に商標権が失効。戦後の再出願時には既に他社が登録していたため、新たに「櫻室町」の商標を取得して使用を開始した。
2000年代以降(平成〜令和):
雄町米100%の酒造りと、名水百選「雄町の冷泉」を用いた仕込みにこだわり、国内外の酒類コンテスト(モンドセレクション、IWSC、BTI など)で多数の受賞を重ねる。岡山最古の蔵として300年以上の歴史を継承しつつ、海外輸出にも積極的に取り組む。
Data
生産者:室町酒造株式会社
住所:岡山県赤磐市西中1342-1
創業:1688年(元禄元年)
TEL:086-955-0029
URL:https://sakuramuromachi.co.jp/ (室町酒造公式サイト・直接注文可)
特定名称:純米酒
原料米&精米歩合:麴米・掛米ともに雄町65%
アルコール度数:14.8%
酵母:室町酵母
日本酒度:+4
酸度:1.6
容量: 720ml(瓶)、1800ml(瓶)
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