Rochefort 8
2025.08.08

スパイスと果実が奏でる芳醇なハーモニー
『ロシュフォール8』は、ベルギー南部ナミュール州にあるサン・レミ修道院で醸造されるトラピストビール(※)のひとつ。世界に数えるほどしか存在しない「トラピスト認証」を受けた希少なビールであり、修道士たちの祈りと労働の精神「Ora et Labora」に基づいて造られています。アルコール度数は9.2%と高めながら、バランスの取れた味わいが特徴です。
色合いは深いダークブラウンで、グラスに注ぐとクリーミーな泡が立ち上がり、イチジクやプラム、キャラメル、スパイスの香りが複雑に広がります。麦芽由来のロースト香や、キャンディーシュガーによる甘みも感じられ、飲むたびに異なる表情を見せてくれるのが魅力。口当たりは滑らかで、重厚ながらも飲みやすく、食後酒としても最適です。
ロシュフォール修道院は13世紀に設立され、1595年にはすでにビール醸造の記録が残っています。フランス革命や戦争による破壊を乗り越え、修道士たちは1889年に再建を果たし、1950年代には現在の「6」「8」「10」のラインナップが誕生しました。2020年には最新設備を導入しつつも、伝統の味を守り続けています。
『ロシュフォール8』は、ただのビールではなく、修道院の歴史と精神が詰まった一杯。静寂の中で醸されたその味わいは、飲む者に深い余韻と敬意をもたらします。
■「トラピストビール(※)」とは?
〇トラピストビールは、キリスト教カトリックの厳律シトー会(通称トラピスト会)の修道院で醸造される、特別な条件を満たしたビールです。単なるビールのスタイルではなく、宗教的・文化的背景を持つ「認証制度」に基づいた存在であり、世界でも限られた修道院のみが「トラピストビール」と名乗ることを許されています。
歴史的背景と起源
トラピスト会の起源は1098年、フランスのシトー修道院にさかのぼります。中世ヨーロッパでは安全な飲料水が乏しく、修道院では栄養価が高く保存性に優れたビールが造られるようになりました。修道士たちは巡礼者や貧しい人々にこのビールを振る舞い、信仰と慈善の精神を体現してきました。
フランス革命や戦争による破壊を経て、19世紀以降に再興された修道院では、伝統的な醸造技術が確立され、現在のトラピストビールの礎が築かれました。
認証と条件
1997年に設立された「国際トラピスト協会(ITA)」は、以下の3つの厳格な条件を満たすビールにのみ「Authentic Trappist Product」の六角形ロゴマークの使用を認めています:
・ 修道院の敷地内で醸造されていること
・ 修道士が自ら醸造するか、監督していること
・ 収益は修道院の維持や慈善活動に充てられること
この認証は、品質と倫理性の両面を保証するものです。
特徴とスタイル
トラピストビールは上面発酵のエールで、瓶内二次発酵(再発酵)を行うため、熟成によって味わいが変化します。一般的にアルコール度数は高め(8〜11%)、風味は濃厚で複雑。フルーティーさやスパイシーさ、酵母由来の香りが特徴です。
専用グラスは聖杯型が多く、香りを引き立てる設計になっています。
現在、世界にトラピスト会修道院は約160ヵ所あり、そのうち9ヶ所でのみトラピストビールが生産されている(2025年時点)。
・オルヴァル(ベルギー/オルヴァル修道院)
・シメイ(ベルギー/スクールモン修道院)
・ロシュフォール(ベルギー/サン・レミ修道院)
・ウェストマール(ベルギー/聖心ノートルダム修道院)
・ウエストフレテレン(ベルギー/シント・シクステュス修道院)
・ラ・トラップ(オランダ/コニングスホーヴェン修道院)
・ズンデルト(オランダ/アブダイ・マリア・トゥーフルフト修道院)
・トレフォンターネ(イタリア/トレフォンターネ修道院)
・ティント・メドウ(イギリス/ティント・メドウ修道院)
■飲み頃温度
〇飲み頃温度は12〜14℃前後。冷やしすぎると香りや風味が閉じてしまうため、冷蔵庫から出して少し置いておくのが理想的です。常温に近い温度で飲むことで、イチジクやプラム、スパイス、キャラメルなどの複雑な香りがしっかりと立ち上がります。香りを閉じ込めつつ、泡立ちを美しく保てるチューリップ型グラスが最適です。修道院系ビールの重厚な香りと色合いを楽しむには、広がりのある口径のグラスが向いています。アルコール度数9.2%と高めなので、ゴクゴク飲むよりも、少量ずつ口に含みながら香りと余韻を楽しむのがベスト。時間が経つにつれて味わいが変化するのも魅力です。
▶サン・レミ修道院のこと
「サン・レミ修道院」は、ベルギー南部ナミュール州ロシュフォールに位置するトラピスト会修道院で、1595年に設立されました。その名は、フランク王国の初代王クロヴィスに洗礼を施した聖レミ(レミギウス)に由来し、彼の精神と祈りの伝統を受け継ぐ場として、長きにわたり信仰と労働の場となってきました。
修道院の歴史は、宗教的使命と地域社会への奉仕に根ざしています。中世ヨーロッパでは清潔な飲料水の確保が困難だったため、修道院では煮沸によって安全性を高めたビールが造られ、巡礼者や地域住民に提供されていました。サン・レミ修道院も例外ではなく、祈りと労働の精神「Ora
et Labora」に基づき、修道士たちは自らの手でビールを醸造し続けてきました。
「サン・レミ修道院」で造られる「ロシュフォール」シリーズは、世界でも限られたトラピスト認証を受けたビールのひとつです。トラピストビールとは、修道院の敷地内で修道士の監督のもとに醸造され、収益が修道院の維持や慈善活動に使われるという厳格な条件を満たしたものだけが名乗ることを許されています。サン・レミ修道院はこの条件を守り続け、伝統と品質を両立させた醸造を行っています。
ビール造りの特徴として、ロシュフォールは上面発酵のエールであり、瓶内二次発酵によって熟成が進むスタイルを採用しています。これにより、時間の経過とともに味わいが深まり、同じ銘柄でもロットや熟成期間によって異なる表情を見せるのが魅力です。特に「ロシュフォール8」は、アルコール度数9.2%ながらもバランスが良く、プラムやキャラメル、スパイスの香りが複雑に絡み合う芳醇な味わいを持ちます。
「サン・レミ修道院」の醸造所は外部にレシピを公開せず、伝統的な製法を守りながらも、近年では設備の近代化も進めています。2020年には新しい醸造設備が導入され、品質管理と持続可能性の両立を図る取り組みが始まりました。それでも、修道士たちの手による監督と祈りの精神は変わることなく、ビール造りの根幹を支えています。
「サン・レミ修道院」のビールは、単なる飲料ではなく、修道士たちの精神、歴史、そして文化が詰まった液体の芸術とも言える存在です。静寂の中で醸されたその一杯は、飲む者に深い余韻と敬意をもたらします。
▶「サン・レミ修道院」の歴史(年表)
496〜499年頃:
フランク王クロヴィス1世が司教レミギウス(聖レミ)によって洗礼を受ける。この出来事が修道院の由来となる。
533年:
聖レミが死去。遺体は小礼拝堂に安置され、聖アムプラ(聖油の小瓶)とともに聖遺物となる。
8世紀半ば:
聖レミの墓所に王立のサン・レミ修道院が創設され、ベネディクト会が管理を引き継ぐ。
9〜10世紀:
聖クリストフォロス礼拝堂が改築され、修道院教会として整備される。
1049年:
教皇レオ9世がロマネスク様式のサン・レミ・バジリカを奉献。修道院の宗教的地位が確立される。
12〜13世紀:
内陣と後陣が建設され、ステンドグラスやタペストリーが制作される。
18世紀:
隣接する修道院がベネディクト会の施設として使用される(現在のサン・レミ博物館)。
1789年頃(フランス革命):
修道院の貴重な聖遺物や宝物が略奪される。聖レミの墓も破壊される。
19世紀:
聖レミの墓が再建される。
1918年8月1日:
第一次世界大戦中、ドイツ軍の砲撃により屋根が炎上・崩落。壁は残るが床に破片が散乱。
1991年:
ユネスコ世界遺産「ランスのノートルダム大聖堂、サン=レミ旧大修道院及びトー宮殿」の一部として登録される。
Data
製造元:サン・レミ修道院
スタイル: トラピスト(上面発酵)
原料: 麦芽、ホップ、糖類(キャンディーシュガーなど)
アルコール度数:9.2%
内容量:330ml(瓶)
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