カンティヨン・グース

Cantillon Gueuze

2025.10.07

野生酵母が奏でるベルギーの酸味芸術

『カンティヨン・グース』は、ベルギー・ブリュッセルにある老舗「カンティヨン醸造所」が造る伝統的なランビックスタイルのビールであり、サワービールの象徴的存在です。グースとは、異なる熟成期間(通常1年、2年、3年)のランビックをブレンドし、瓶内で二次発酵させて造られるスタイルで、複雑な味わいと強い酸味が特徴です。カンティヨン・グースはその中でも特に伝統製法を守り、有機原料を使用したピュアな造りで知られています。

「カンティヨン・グース」は、野生酵母による自然発酵によって生まれる独特の香りと風味を持ち、レモンやグレープフルーツを思わせるフルーティーな香りに加え、ウッディで土っぽいニュアンスも感じられます。口に含むとシャープな酸味が広がり、ドライな後味が長く続きます。アルコール度数は5.0%と控えめながら、飲みごたえはしっかりしており、ビールというよりもワインやシードルに近い印象を受ける人も多いでしょう。

カンティヨン醸造所は、1900年にブリュッセルに移転して以来、冬季のみ醸造を行うという昔ながらのスタイルを守り続けています。1999年にはベルギー政府から正式に無農薬認証を受け、ラベルには農薬の使われていない土壌でしか育たないケシの花が描かれています。この花は、カンティヨンの哲学と品質へのこだわりを象徴するものです。

「カンティヨン・グース」は、ビールの常識を覆すような酸味と複雑さ(※)を持ち、飲むたびに新たな発見がある奥深い一杯です。サワービール初心者には驚きの体験となるかもしれませんが、その個性に魅了されると、他では味わえない唯一無二の世界が広がります。

■ビールの常識を覆すような酸味と複雑さ(※)

〇カンティヨンのビールは非常に酸味が強く、初めて飲む人には驚かれることもあります。しかしその個性こそが魅力であり、今では“サワービールの聖地”として世界中のファンを魅了しています。

■飲み方あれこれ!!

〇カンティヨン・グースは、繊細で複雑な味わいを持つ伝統的なランビックスタイルのビールです。その魅力を最大限に引き出すためのおすすめの飲み方をご紹介します。

適温で楽しむ(10〜12℃)

冷やしすぎると香りが閉じてしまうため、少し温度を上げてから飲むのがベスト。冷蔵庫から出して10分ほど置くと理想的な温度になります。

グラス選び:ワイングラス or チューリップ型グラス

香りをしっかりと感じるためには、口がすぼまったグラスがおすすめ。アロマが立ち上がり、酸味と果実香のバランスを堪能できます。

注ぎ方:ゆっくりと丁寧に

瓶内二次発酵による炭酸が強めなので、勢いよく注ぐと泡立ちすぎてしまいます。グラスを傾けて静かに注ぎましょう。

ペアリング:酸味を活かす料理と合わせて

ヤギのチーズ、スモークサーモン、牡蠣、酢を使った前菜など、酸味や塩味のある料理と相性抜群。デザートならレモンタルトやベリー系もおすすめです。

熟成を楽しむ

カンティヨン・グースは瓶内でさらに熟成が進むため、数年寝かせることで酸味がまろやかになり、より複雑な風味が楽しめます。

静かな環境でじっくり味わう

このビールは“飲み干す”より“味わう”タイプ。香り、酸味、余韻を感じながら、ゆっくりと時間をかけて楽しむのが理想です。

 

▶カンティヨン醸造所のこと

「カンティヨン醸造所」は、ベルギー・ブリュッセルのアンデルレヒト地区に位置する、1900年創業の家族経営ブルワリーです。初代ポール・カンティヨンが設立したこの醸造所は、当時100軒以上あったブリュッセルの醸造所の中でも、現在まで存続している数少ない存在です。創業以来、伝統的なランビック製法を守り続けており、現代のクラフトビールブームの中でも異彩を放つ存在として、世界中のビールファンから高い評価を受けています。

第二次世界大戦後の1945年には、ポールの息子マルセルとロバートが経営を引き継ぎ、1958年までに年間生産量は約2,500ヘクトリットルにまで拡大しました。その後、1968年にはマルセルの娘婿ジャン=ピエール・ヴァン・ロイが醸造所に加わり、伝統的なランビック造りをさらに強化。1978年には、醸造所内に「ブリュッセル・グース博物館」を設立し、一般公開を開始。訪問者は実際の醸造工程を見学できるようになり、ベルギーの自然発酵ビール文化を広く伝える拠点となりました。

現在はジャン=ピエールの息子、ジャン・ヴァン・ロイが中心となって運営しており、カンティヨン醸造所は5世代にわたる家族の情熱によって支えられています。醸造所では、野生酵母による自然発酵を用いたランビックビールのみを製造しており、空気中の微生物を取り込むために冬季のみ醸造を行うという伝統的なスタイルを守っています。温度や湿度、建物の木材や石壁など、すべてが微生物の活動に影響を与えるため、醸造所そのものが“生きた環境”として機能しているのです。

ビール造りには、無農薬認証を受けた原料のみを使用しており、1999年以降はすべての製品がオーガニック。ラベルに描かれたケシの花は、農薬の使われていない土壌でしか育たない植物であり、カンティヨンの哲学と品質へのこだわりを象徴しています。

代表銘柄には、異なる熟成期間のランビックをブレンドした「カンティヨン・グース」や、チェリーを漬け込んだ「クリーク」、ラズベリーを使った「ローズ・ド・ガンブリヌス」などがあり、いずれも強い酸味と複雑な香りが特徴です。これらのビールは、一般的なビールとは一線を画す“発酵芸術”とも言える存在であり、飲むたびに新たな発見がある奥深い味わいを提供してくれます。

▶「カンティヨン醸造所」の歴史(年表)

1900年:

ポール・カンティヨンがブリュッセル西部アンデルレヒト地区に醸造所を設立(※2)

1945年:

第二次世界大戦後、息子のマルセルとロバート・カンティヨンが経営を引き継ぐ。

1958年:

年間生産量が約2,500ヘクトリットルに拡大。

1968年:

マルセルの娘婿ジャン=ピエール・ヴァン・ロイが醸造所に参加。伝統的ランビック製法を継承。

1978年:

醸造所内に「ブリュッセル・グース博物館」を設立(※3)。一般公開を開始。

1999年:

無農薬認証を受け(※4)、有機原料のみを使用する方針へ転換。

2000年代以降:

ジャン=ピエールの息子ジャン・ヴァン・ロイが中心となって運営。伝統を守りながら革新を進める。

■ブリュッセル西部アンデルレヒト地区に醸造所を設立(※2)

〇1900年当時、ブリュッセルには約100軒のランビック醸造所が存在していましたが、現在も伝統的な自然発酵製法を守り続けているのはカンティヨン醸造所のみ。その生き残りは奇跡とも言えるほどです。

■醸造所内に「ブリュッセル・グース博物館」を設立(※3)

〇1978年、ジャン=ピエール・ヴァン・ロイが「ブリュッセル・グース博物館(Het Brussels Museum van de Geuze)」を醸造所内に設立。実際に稼働している醸造設備を見学できる博物館として、観光名所にもなっています。

■無農薬認証を受け(※4)

〇1999年からは無農薬認証を受け、有機原料のみを使用。ラベルに描かれたケシの花は、農薬の使われていない土壌でしか育たない植物であり、カンティヨンの品質へのこだわりと哲学を象徴しています。

Data

製造元:カンティヨン醸造所

スタイル:ランビック(自然発酵)

原料:大麦麦芽、小麦、ホップ、酵母

アルコール度数:5.0%

内容量:375ml

 

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