Westmalle Tripel
2025.08.08

トリプルの代名詞となったトラピストビール
『ウエストマール トリプル』は、ベルギーのウエストマール修道院で醸造される、世界初の「トリプル」スタイル(※)を名乗ったトラピストビール(※2)です。1920年代に誕生し、1956年に現在のレシピへと改良されたこのビールは、トリプル(※)というスタイルの原型として、世界中のクラフトビール愛好家から高い評価を受けています。
その外観は、澄んだ黄金色に輝き、瓶内二次発酵によって生まれるきめ細やかな泡が美しく立ち上がります。香りは非常に豊かで、バナナや洋梨を思わせるフルーティーなエステル香に加え、クローブや白胡椒のようなスパイシーなニュアンスが感じられます。これらは、独自の酵母と伝統的な醸造技術によって生み出されるもので、香りだけでもその複雑さと奥深さに驚かされます。
味わいは、アルコール度数9.5%という力強さを持ちながらも、驚くほど滑らかでバランスが取れています。麦芽の甘みとホップのほろ苦さが絶妙に調和し、飲み進めるごとに味の層が広がっていきます。余韻にはスパイス感とほのかなアルコールの温かみが残り、食中酒としても非常に優秀です。特に白身魚やクリーム系の料理、熟成チーズとの相性は抜群です。
「ウエストマール トリプル」は、単なるビールではなく、修道士たちの祈りと手仕事が込められた芸術品とも言える存在です。トラピスト認証を受けた数少ないビールのひとつであり、その品質と精神性は、飲む者に深い感動を与えてくれます。ビールの歴史と文化に触れたいなら、まずこの一杯から始めてみてはいかがでしょうか。
■世界初の「トリプル」スタイル(※)とは?
〇ウェストマール修道院は、1934年に「ウェストマール・トリプル」を発売し、世界で初めて「トリプル(Tripel)」という名称をビールに用いたことで知られています。このスタイルは、淡色で高アルコール(約9.5%)という特徴を持ち、以後多くのベルギービールやクラフトビールに影響を与えました。この命名は、修道院内での試験醸造と品質改良を重ねた末に生まれたもので、現在では「トリプル=淡色・高アルコール・瓶内二次発酵」という定義の原型となっています。
■「トラピストビール(※)」とは?
〇トラピストビールは、キリスト教カトリックの厳律シトー会(通称トラピスト会)の修道院で醸造される、特別な条件を満たしたビールです。単なるビールのスタイルではなく、宗教的・文化的背景を持つ「認証制度」に基づいた存在であり、世界でも限られた修道院のみが「トラピストビール」と名乗ることを許されています。
歴史的背景と起源
トラピスト会の起源は1098年、フランスのシトー修道院にさかのぼります。中世ヨーロッパでは安全な飲料水が乏しく、修道院では栄養価が高く保存性に優れたビールが造られるようになりました。修道士たちは巡礼者や貧しい人々にこのビールを振る舞い、信仰と慈善の精神を体現してきました。
フランス革命や戦争による破壊を経て、19世紀以降に再興された修道院では、伝統的な醸造技術が確立され、現在のトラピストビールの礎が築かれました。
認証と条件
1997年に設立された「国際トラピスト協会(ITA)」は、以下の3つの厳格な条件を満たすビールにのみ「Authentic Trappist Product」の六角形ロゴマークの使用を認めています:
・ 修道院の敷地内で醸造されていること
・ 修道士が自ら醸造するか、監督していること
・ 収益は修道院の維持や慈善活動に充てられること
この認証は、品質と倫理性の両面を保証するものです。
特徴とスタイル
トラピストビールは上面発酵のエールで、瓶内二次発酵(再発酵)を行うため、熟成によって味わいが変化します。一般的にアルコール度数は高め(8〜11%)、風味は濃厚で複雑。フルーティーさやスパイシーさ、酵母由来の香りが特徴です。
専用グラスは聖杯型が多く、香りを引き立てる設計になっています。
現在、世界にトラピスト会修道院は約160ヵ所あり、そのうち9ヶ所でのみトラピストビールが生産されている(2025年時点)。
・オルヴァル(ベルギー/オルヴァル修道院)
・シメイ(ベルギー/スクールモン修道院)
・ロシュフォール(ベルギー/サン・レミ修道院)
・ウェストマール(ベルギー/聖心ノートルダム修道院)
・ウエストフレテレン(ベルギー/シント・シクステュス修道院)
・ラ・トラップ(オランダ/コニングスホーヴェン修道院)
・ズンデルト(オランダ/アブダイ・マリア・トゥーフルフト修道院)
・トレフォンターネ(イタリア/トレフォンターネ修道院)
・ティント・メドウ(イギリス/ティント・メドウ修道院)
■飲み頃温度
〇飲み頃の温度は8〜10℃位で。冷やしすぎると香りが閉じてしまい、温度が高すぎるとアルコール感が強く出ます。冷蔵庫から出して少し置き、冷涼な室温程度がベスト。ウエストマールのゴブレット型グラス(聖杯型)がおすすめ。広がりのある口径が香りを引き出し、泡立ちも美しく演出します。瓶内二次発酵による酵母が底に沈んでいるため、最後まで注がずに残すか、好みに応じて軽く混ぜて注ぎます。酵母を含めると、より濃厚でスパイシーな味わいになります。アルコール度数9.5%と高めなので、少量をじっくりと。時間とともに香りや味が変化するので、グラスの中での「旅」を楽しめます。
▶「聖心ノートルダム(ウェストマール)修道院」のこと
「聖心ノートルダム修道院(ウェストマール修道院)」は、ベルギー・アントウェルペン州の田園地帯に位置するトラピスト会修道院であり、世界的に名高いトラピストビール「ウェストマール・ダブル」「ウェストマール・トリプル」の醸造元です。その歴史とビール造りの特徴は、修道士たちの信仰と労働に根ざした深い精神性と技術力に支えられています。
「聖心ノートルダム修道院」の起源は12世紀にさかのぼりますが、現在の形での設立は1794年。フランス革命の混乱により一時放棄されましたが、1802年に修道士が戻り再建を開始。1836年には正式にトラピスト会修道院として認定され、同年にマルティナス・ドム修道院長の指導のもと、醸造所の建設が始まりました。その年の12月には、修道士たちに初めて自家製のトラピストビールが振る舞われたと記録されています。
「聖心ノートルダム修道院」のビール造りは、「祈りと労働(Ora et Labora)」というトラピストの理念に基づいています。修道士たちは農業やチーズ製造と並び、ビール醸造を通じて自給自足の生活を営みながら、地域社会への奉仕と慈善活動にも力を注いできました。
醸造の特徴としては、まず瓶内二次発酵による熟成が挙げられます。これにより、ビールは時間とともに味わいが深まり、きめ細かい泡立ちと複雑な香りが生まれます。特に「ウェストマール・トリプル」は、1934年に発売された世界初の「トリプル」スタイルのビールとして知られ、淡色で高アルコール(9.5%)というスタイルを確立しました。バナナや洋梨のようなフルーティーな香りに加え、スパイシーな余韻が特徴で、トラピストビールの中でも最も洗練された味わいと評価されています。
また、「ウェストマール修道院」は他のトラピスト修道院との技術的なつながりも深く、例えばアヘル修道院の再建に際しては、ウェストマールで42年間醸造に携わったトーマス神父が関与し、酵母も共有されたとされています。こうした技術交流は、トラピストビール全体の品質向上にも寄与しています。
現在では、聖心ノートルダム修道院はトラピストビールの中でも最大級の生産量を誇りながらも、伝統と精神性を守り続けています。そのビールは単なる商品ではなく、修道士たちの祈りと手仕事が込められた、文化と信仰の結晶なのです。
▶「聖心ノートルダム修道院」の歴史(年表)
12世紀頃:
現在の修道院の前身となる宗教施設がこの地に存在していたとされる。
1794年:
ウェストマール修道院が正式に設立される。しかし同年、フランス軍の侵攻により一時放棄。
1802年:
修道士たちが戻り、修道院の再建が始まる。
1811〜1814年:
ナポレオンによる宗教政策により、修道院が再び閉鎖される。
1836年4月22日:
聖心ノートルダム修道院が正式にトラピスト会修道院として認定される。
1836年12月10日:
修道士たちに初めて自家製のトラピストビールが振る舞われる。これが醸造所の始まり。
1920年代:
修道院内で「トリプル」スタイルのビールが試験的に醸造され始める。
1934年:
世界初の「トリプル」スタイルとして「ウェストマール・トリプル」が発売される。
1956年:
現在の「ウェストマール・トリプル」のレシピが完成。品質と味わいが大きく向上。
2000年代以降:
トラピストビールの国際的な人気が高まり、ウェストマール修道院もその中心的存在となる。
現在(2025年):
聖心ノートルダム修道院は、トラピストビールの伝統を守りながら、持続可能な醸造と地域貢献を続けている。
Data
製造元:聖心ノートルダム修道院
スタイル: トラピスト(上面発酵)
原料: 麦芽、ホップ、糖類(キャンディーシュガー)
アルコール度数: 9.5%
内容量:330ml(瓶)
【広告】楽天/ビール通販
【広告】Amazon/ビール通販
・ご指定以外の商品も表示されます。
・お酒は二十歳になってから。