Chimay White
2025.08.08

修道院が生んだ黄金のトリプル
ベルギー南部のスコールモン修道院で醸造される『シメイ ホワイト』は、世界でも限られたトラピスト認証を受けたビールのひとつです。修道士たちの祈りと手仕事によって生み出されるこのビールは、伝統とクラフトマンシップの結晶とも言える存在です。
スタイルは「ベルギー・トリプル(※)」。淡いゴールデンカラーに輝き、アルコール度数は8%と高めながらも、驚くほどバランスの取れた飲み口が特徴です。香りには洋梨や白桃のようなフルーティーさが広がり、クローブや白胡椒を思わせるスパイシーなニュアンスがアクセントを添えます。口当たりは滑らかで、瓶内二次発酵による細やかな泡立ちが、味わいに奥行きを与えています。
食中酒としても優秀で、鶏肉のグリルや白身魚のソテー、クリーム系の料理との相性は抜群。料理の風味を引き立てながら、ビール自体の個性も際立たせます。
「シメイ ホワイト」は、ただのビールではありません。それは修道院の静寂と伝統、そして職人の情熱が詰まった一杯。日常を少しだけ特別にしてくれる、そんな存在です。ビールの奥深さと文化的背景を感じたい方にこそ、ぜひ味わっていただきたい逸品です。
■「ベルギー・トリプル」(※)とは?
〇「ベルギー・トリプル(Belgian Tripel)」は、ベルギービールの中でも特に格式高く、力強いスタイルとして知られています。
起源と歴史
「トリプル」という名称は、1934年にベルギーのウェストマール修道院が醸造した強いペールエールに由来します。1956年にそのレシピが改良され、「トリプル」として正式に命名されました。「トリプル」は、修道院ビールの等級を示す言葉で、「エンケル(シングル)」「ダブル」「トリプル」といった分類があり、トリプルは最も強いビールを指します。
スタイルの特徴
・色合い:淡いゴールデンカラー。透明感があり、美しい黄金色が特徴。
・アルコール度数:一般的に8〜10%前後と高め。
・香り:白ワインのようなフローラルな香り、洋梨やリンゴ、スパイス(白胡椒、クローブ)などの複雑なアロマ。
・味わい:甘みは控えめで、フルーティーさとスパイシーさが調和。後味はドライでキレが良い。
・発酵:瓶内二次発酵によって、泡立ちが細かく、熟成による風味の変化も楽しめる。
醸造技術と意味
「トリプル」という言葉には、初期比重が高い(糖分が多い)=アルコール度数が高くなるという技術的な意味もあります。また、各修道院や醸造所が「最上級のビール」として位置づけることも多く、ブランドの象徴的存在です。
代表的な銘柄
・ウェストマール・トリプル:スタイルの元祖。バランスの取れた味わい。
・シメイ・ホワイト(Chimay Tripel):フルーティーでスパイシーな香りが特徴。
・カルメリート・トリプル:3種の穀物を使用し、華やかな香りと複雑な味わい。
・セント・ベルナルデュス・トリプル:初心者にも飲みやすい、まろやかなスタイル。
「ベルギー・トリプル」は、単なる高アルコールビールではなく、修道院の伝統と技術が詰まった格式あるスタイルです。香り、味、余韻のすべてに奥行きがあり、ゆっくりと味わうことでその魅力がじわじわと広がります。
■飲み頃温度
〇飲み頃温度は8〜10℃位で。冷やしすぎると香りが閉じてしまうため、冷蔵庫から出して少し置いてから飲むのが理想。ワインのように、温度が上がるにつれて香りが開いていきます。シメイ専用のゴブレット型グラス(聖杯型)がおすすめ。広い口が香りを引き立て、厚みのあるガラスが温度を安定させます。瓶内二次発酵による酵母が底に沈んでいるため、最後まで注がずに残すか、好みに応じて混ぜる。ゆっくり注ぐことで泡立ちが美しく、香りも立ちやすくなります。アルコール度数が高めなので、少しずつ飲みながら香りと味の変化を楽しむのが良。開栓後も時間とともに風味が広がるので、会話や食事とともにゆったりと。
▶「スモークモン修道院」のこと
ベルギー南部、ワロン地域のエノー州に位置する「スクールモン修道院」は、世界的に有名なトラピストビール「シメイ(Chimay)」の生まれ故郷です。正式名称は「ノートルダム・ドゥ・スクールモン修道院」で、1850年、厳律シトー会(トラピスト会)の修道士たちによって創設されました。彼らは祈りと労働を中心とした生活を送りながら、地域社会への貢献を目的に修道院を築きました。
修道院がビール造りを始めたのは1862年。敷地内に湧く良質な地下水を活かし、修道士たちは自らの手で醸造を開始しました。当初は地域の失業者を雇用する目的もあり、社会的な役割を担っていたのです。その後、1948年には「シメイ・ブルー」がクリスマスビールとして登場し、1966年には「シメイ・ホワイト(トリプル)」がテオドール神父のレシピ(※)によって誕生しました。
「スクールモン修道院」のビール造りは、トラピストの理念に基づいています。つまり、醸造は修道院内で行われ、収益は修道院の維持や慈善活動に充てられることが条件です。この厳格な基準を満たすビールだけが「Authentic
Trappist Product」の認証を受けることができ、シメイはその代表格として世界中のビール愛好家に親しまれています。
醸造には最新の技術が導入されており、品質管理は極めて厳密です。麦芽やホップの選定はもちろん、瓶内二次発酵による熟成工程も特徴的で、これによりシメイビールは豊かな香りと深い味わいを持つようになります。また、醸造後に残る麦芽かすは、修道院で製造されるチーズの原料となる牛の飼料として再利用されるなど、持続可能な循環型の生産体制も整えられています。
「スクールモン修道院」は、ただの醸造所ではありません。それは祈りと伝統、そして地域社会への思いやりが融合した、静寂とクラフトマンシップの聖地です。シメイビールを味わうことは、修道士たちの精神と歴史に触れる体験でもあります。
■ テオドール神父のレシピ(1966年)(※2)
〇「シメイ ホワイト(トリプル)」の誕生には、修道士であり醸造責任者でもあったテオドール神父の存在が欠かせません。彼は1966年に独自のレシピを完成させ、淡色で高アルコールながらもバランスの取れたトリプルスタイルを生み出しました。このレシピは現在もほぼそのまま使われており、修道院の伝統と革新の象徴となっています。
▶「スモークモン修道院」の歴史(年表)
1850年:
厳律シトー会(トラピスト会)の修道士たちがベルギー南部のスクールモン高原に「ノートルダム・ドゥ・スクールモン修道院」を創設。
1852年:
修道院の農業活動が本格化。土地の開墾と地域社会への貢献が始まる。
1862年:
修道院内でビール醸造が開始される。これが後の「シメイビール」の原点となる。
1876年:
修道院でチーズの製造も開始。ビールと並ぶ名物となり、現在も続く。
1948年:
「シメイ・ブルー(グランド・レザーヴ)」がクリスマスビールとして登場。濃厚なダークエールとして人気を博す。
1966年:
「シメイ・ホワイト(トリプル)」が誕生。テオドール神父のレシピによる、淡色で高アルコールのトリプルスタイル。
1996年:
醸造所が近代化され、品質管理と生産体制が強化される。
2005年以降:
環境への配慮を強め、持続可能な生産体制を導入。麦芽かすの再利用やエネルギー効率の改善が進む。
現在:
スクールモン修道院は、祈り・労働・社会貢献の理念を守りながら、世界中に「シメイ」ブランドを展開。トラピスト認証を受けた数少ない修道院として、ビール文化の象徴的存在となっている。
Data
製造元:スモークモン修道院
スタイル: トラピスト(上面発酵)
原料: 大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ、糖類
アルコール度数: 8.0%
内容量:330ml、750ml
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