ヒューガルデン ホワイト

Hoegaarden White

2025.08.09

コリアンダーとオレンジピールが香る一杯

『ヒューガルデン ホワイト』は、ベルギー・ヒューガルデン村の伝統を受け継ぐホワイトビール(白ビール)であり、世界中で愛されるベルジャン・スタイル・ウィットビール(Witはオランダ語で「白」の意味)の代表格です。14世紀から続く小麦を使った醸造法をベースに、1966年にピエール・セリスが復活させたことで、現代の「ヒューガルデン・ホワイト」が誕生しました。

最大の特徴は、濁りのある淡い色合いと、爽やかでスパイシーな香り。原料には大麦ではなく小麦を使用し、さらにコリアンダーとオレンジピールを加えることで、柑橘系のフルーティーな香りとほのかなスパイス感が生まれます。フィルターを通さないことで、自然な濁りとまろやかな口当たりが残り、苦味は控えめ。ビールが苦手な人でも飲みやすく、軽やかな味わいが特徴です。

料理との相性も抜群で、特にサラダや魚介料理、和食など繊細な味わいの料理とよく合います。アルコール度数は約4.9%と中程度で、昼下がりの一杯や食中酒としても最適です。

現在は「バドワイザー」で知られる「アンハイザー・ブッシュ・インヘブ(AB InBev)社」の傘下で世界展開されており、瓶・缶ともに韓国や中国の工場でライセンス生産されていますが、味の再現性は高く、クラウディ・ビールとしての個性はしっかりと保たれています。ヒューガルデン・ホワイトは、伝統と革新が融合した、ベルギーの誇る白ビールの傑作です。

■コリアンダー(※)とは?

〇コリアンダー(学名:Coriandrum sativum)は、セリ科の一年草で、地中海沿岸を原産とする香味植物です。日本では「コリアンダー」のほか、タイ語由来の「パクチー」、中国語由来の「シャンツァイ(香菜)」、そして古くはポルトガル語由来の「コエンドロ」とも呼ばれています。「ベルジャン・ホワイト」などのビアスタイルでは、コリアンダーの種子がスパイスとして使用されます。「ヒューガルデン ホワイト」にも使われており、爽やかな柑橘香とスパイシーなアクセントを加える重要な要素となっています。

■飲み頃温度

〇「ヒューガルデン ホワイト」の飲み頃は4〜6℃位で。冷やしすぎると香りが閉じてしまい、温すぎると爽快感が失われます。冷蔵庫でしっかり冷やし、グラスに注いだときにほんのり冷たいくらいがベスト。ヒューガルデンの六角形の厚みある専用グラスは、香りを閉じ込めず、手の温度で少しずつ温める設計。グラスの縁が広く、香りが立ちやすいのもポイント。缶や瓶を開けたら、グラスを斜めにしてゆっくり注ぎ、最後に瓶底の濁り(酵母)を軽く回して注ぎ切る。この濁りがヒューガルデン・ホワイトの味の深みと香りを引き立てます。

 

▶ヒューガルデン醸造所のこと

ベルギーのフラームス・ブラバント州に位置するヒューガルデン村は、ホワイトビールの発祥地として知られています。ヒューガルデン醸造所はこの地に根ざし、世界的に有名な「ヒューガルデン・ホワイト」を生み出したことで、ベルギービール文化の象徴的存在となりました。

ヒューガルデン村では、1318年にはすでにビール醸造の記録が残されており、15世紀には修道院の僧たちがホワイトビールの醸造を始めました。彼らは酸味の強いビールに、当時東インドから輸入されていたオレンジピールやコリアンダーシードを加えることで、爽やかでスパイシーな風味を生み出しました。このレシピは、ベルジャン・ウィット(白ビール)というスタイルの原型となり、何世紀にもわたって受け継がれてきました。

しかし20世紀に入ると、ピルスナータイプのラガービールが主流となり、ホワイトビールは急速に衰退。1957年にはヒューガルデン村最後の醸造所が閉鎖され、伝統は途絶えたかに見えました。そんな中、村出身のピエール・セリスが1966年に廃業したレモネード工場を買い取り、ホワイトビールの復活に挑戦。彼は修道士のレシピを再現し、「ヒューガルデン・ホワイト」として販売を開始。ピルスナーに慣れた当時の人々に新鮮な驚きを与え、瞬く間に人気を博しました。

「ヒューガルデン醸造所」のビール造りの特徴は、小麦を使用した上面発酵による柔らかな口当たりと、オレンジピールとコリアンダーによる芳香です。乳白色がかった淡いイエローの外観と、苦味の少ない軽快な味わいが魅力で、フルーティーかつスパイシーな香りが飲み手を惹きつけます。瓶内二次発酵による酵母の旨みも、味に奥行きを与えています。

1985年の火災を機に、セリス氏はインタブリュー社(現AB InBev)の傘下に入り、醸造所は企業主導の製造体制へと移行。2000年代にはヒューガルデン村の醸造所は閉鎖され、現在では韓国や中国の工場でライセンス生産が行われています。それでもなお、ヒューガルデン村の名と伝統はブランドの核として残り続けており、ロゴに描かれた「杖と鍬」は、伝道師と農民を象徴し、土地と文化への敬意を表しています。

ヒューガルデン醸造所は、失われた伝統を現代に蘇らせ、ベルギービール文化を世界に広めた象徴的な存在です。その味わいと物語は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

▶ヒューガルデン醸造所の歴史(年表)

14世紀(1318年頃):

ベルギー・ヒューガルデン村でホワイトビールの醸造が始まる。

1445年:

修道士によって小麦を使った白ビールのレシピが確立される。

1957年:

ピルスナー人気の影響で、ヒューガルデン村最後のホワイトビール醸造所が閉鎖。伝統が途絶える。

1966年:

ピエール・セリス(※)が廃業したレモネード工場を買い取り、ホワイトビールの醸造を再開。「ヒューガルデン・ホワイト」として販売開始。

1985年:

醸造所が火災に遭い、復興資金のためインタブリュー社(現AB InBev)の傘下に入る。

2002年:

瓶の形状とラベルデザインが変更される。

2005〜2006年:

醸造所の移転・閉鎖に伴い、一時的に品薄状態となる。

2008年:

韓国・光州のOBビール工場でライセンス生産が開始。東アジア向け缶ビールは韓国産に。

2016年:

ワールド・ビア・カップでベルジャンスタイルホワイト部門金賞受賞。

2024年:

缶・瓶ともに東アジア向け製品は韓国および中国・四川工場で全量生産されるようになる。

Data

製造元:アンハイザー・ブッシュ・インヘブ社

スタイル: ベルジャンスタイル・ホワイトエール(上面発酵)

原料: 大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ、コリアンダーシート、オレンジピール

アルコール度数:4.9%

内容量:330ml(瓶、缶)

 

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