アードモア・レガシー

Ardmore Lagacy

2026.06.06

whisky-ardmore

穏やかなスモークが心地よく広がる軽快なハイランドモルト

『アードモア レガシー』は、ハイランドモルトでありながら軽やかなスモーキーさを楽しめる、親しみやすい味わいのシングルモルトウイスキー。アードモア蒸留所が伝統的に用いてきたピーテッド麦芽をベースにしつつ、ヘザーハニーのような柔らかな甘さと爽やかな飲み口を併せ持つ点が特徴的だ。アイラ系のような強烈なスモークではなく、穏やかで心地よいピート香が全体を包み込み、スモーキーウイスキー初心者にも受け入れやすいスタイルとなっている。

香りは、バニラや蜂蜜の甘いニュアンスに、軽いスモークとシリアルの香ばしさが重なる。さらにレモンピールや青リンゴのようなフレッシュな印象が加わり、爽やかさと温かみが同居するバランスの良いアロマを形成している。口に含むと、まず穏やかな甘味が広がり、その後にピートスモークが優しく立ち上がる。焦がしたオーク、麦芽のコク、ほのかなスパイスが層を成し、軽快でありながら満足感のある味わいが続く。フィニッシュは中程度の長さで、スモークと甘味がゆっくりと溶け合いながら消えていく。余韻にはハーブのような爽やかさと、ほのかな土っぽさが残り、アードモアらしい素朴で自然な風味が印象的だ。

「アードモア レガシー」はスモーキーウイスキーの入門としても、日常的に楽しむ一本としても優れたバランスを持つウイスキーであり、気取らず楽しめるハイランドピーテッドの魅力をしっかりと体現している。

■飲み方あれこれ!!

ストレート:

穏やかなスモークと蜂蜜の甘さが最も素直に感じられ、軽やかなピート香が心地よく広がる。バニラやレモンピールの爽やかさが際立ち、アードモアらしい優しいスモーキーさをしっかり味わえる。

トワイスアップ(少量加水):

少し水を加えることで香りが一気に開き、バニラやシリアルの甘い香りがより明確になる。スモークは柔らかくなり、麦芽のコクが前に出て、軽快でバランスの良い味わいに変化する。

ハイボール:

爽やかなレモンピールの香りが引き立ち、軽いスモークが心地よく漂う飲みやすいスタイルになる。甘味とスモークがすっきりと調和し、食事にも合わせやすい軽快な一杯として楽しめる。

 

▶「アードモア蒸留所」のこと

アードモア蒸留所は、1898年にウィリアム・ティーチャーの息子アダム・ティーチャーによって創業された。創業の目的は、ブレンデッドウイスキー「ティーチャーズ ハイランドクリーム」に安定したピーテッド原酒を供給することであり、当時としては珍しい“ハイランド地方のピーテッドモルト”を造る蒸留所として位置づけられた。蒸留所はアバディーンシャーのケネスモントに建てられ、鉄道沿線という立地を活かして原料や樽の運搬が容易であったことも発展を後押しした。創業後は順調に規模を拡大し、1955年にはスチルが2基から4基へ、1974年にはさらに8基へと増設され、ハイランドでも有数の生産量を誇る蒸留所へと成長した。

⇒“ハイランド地方のピーテッドモルト”を造る蒸留所

〇20世紀に入り、多くのハイランド蒸留所がノンピーテッドへ転換する中、アードモアは一貫してピーテッド麦芽を使い続けた稀有な蒸留所であった。アイラのような海風由来のヨード香ではなく、ウッディで穏やかなスモークを特徴とする“ハイランドピーテッド”の代表格として知られるようになった。

■アードモア蒸留所

所有者の変遷もアードモアの歴史を語る上で重要である。1976年に「アライド・ドメック」傘下に入り、2005年にはその解体に伴い「フォーチュン・ブランズ(後のビーム社)」へ移った。2014年にはサントリーによる買収により「ビーム・サントリー(現:サントリーグローバルスピリッツ)」の一員となり、現在に至るまで安定した生産体制が続いている。なお、2001年まではスチルを石炭直火で加熱していたが、現在は蒸気加熱へと切り替えられている。

ウイスキー造りの特徴としてまず挙げられるのは、ハイランドでは珍しいピーテッド麦芽の使用である。フェノール値は約12〜14ppmと中程度で、アイラのような強烈さではなく、穏やかでウッディなスモークが特徴的だ。かつては自社製麦を行っていたが、現在は外部からピーテッドとノンピーテッドの麦芽を調達している。仕込み水にはノッカンディーヒルの泉の清らかな水を使用し、糖化は12トンのマッシュタンで約7時間かけて行われる。

発酵にはダグラスファー製の木製ウォッシュバックを使用し、約53時間という比較的長めの発酵時間を取ることで、フルーティーで柔らかな香味を引き出している。蒸留は初留4基・再留4基の計8基のポットスチルで行われ、ストレート型のスチルと下向きのラインアームが、力強く厚みのある酒質を生む要因となっている。

熟成には主にファーストフィルのバーボン樽が用いられ、さらに特徴的なのがクォーターカスクによる後熟である。容量の小さな樽を使うことで樽との接触面積が増え、より濃厚でスパイシーな風味が形成される。これらの工程を経て生まれるアードモアのウイスキーは、蜂蜜の甘さ、バニラ、スパイス、そして穏やかなスモークが調和した、ハイランドでは独自の個性を持つ一本となっている。

▶「アードモア蒸留所」の歴史(年表)

1898年:

ウィリアム・ティーチャーの息子アダム・ティーチャーが、ブレンデッド「ティーチャーズ ハイランドクリーム」の原酒確保を目的に蒸留所を設立した。

1923年:

アードモア蒸留所が有限会社として組織化され、事業基盤が強化された。

1955年:

需要増加に対応するため、ポットスチルが2基から4基へ増設され、生産能力が大幅に向上した。

1974年:

さらに4基のスチルが追加され、初留4基・再留4基の合計8基体制となり、現在の規模に近い生産設備が整った。

1976年:

アライド・ドメック(Allied Breweries)がウィリアム・ティーチャー&サンズを買収し、蒸留所は同社の傘下に入った。同時に自社製麦(サラディン式モルティング)が終了(※2)した。

⇒自社製麦(サラディン式モルティング)が終了(※2)

〇1970年代までアードモアは自社の製麦設備(サラディン式)を持ち、さらに1980年代までは自社の樽工房(クーパレッジ)も運営していた。製麦から樽づくりまで一貫して行う蒸留所は当時でも珍しく、アードモアの“自給自足的なウイスキー造り”は大きな特徴として語り継がれている。

1980年代後半:

自社の樽製造(クーパレッジ)が終了し、以降は外部調達へ移行した。

2001年:

長年続けてきた石炭直火加熱を廃止(※3)し、蒸気による間接加熱方式へ変更した。これにより蒸留の効率と安定性が向上した。

⇒長年続けてきた石炭直火加熱を廃止(※3)

〇「アードモア」は、2001年まで石炭直火でスチルを加熱していた数少ない蒸留所のひとつである。直火特有の“焦げ付きによる重厚なコク”を再現するため、蒸気加熱へ切り替えた際には、蒸気コイルに“わざと熱の偏りを作る工夫”を施したという逸話が残る。

2005年:

アライド・ドメック解体に伴い、蒸留所はフォーチュン・ブランズ(後のビーム社)に移り、新たな企業体制で運営が続けられた。

2006年:

ティーチャーズやラフロイグとともにビームグローバル社に買収され、国際的なブランド戦略のもとで再編が進んだ。

2014年:

ビーム社がサントリーに買収され、「ビーム・サントリー(現:サントリーグローバルスピリッツ)」の傘下となり、現在の所有体制が確立した。

Data

蒸留所:アードモア蒸留所(サントリーグローバルスピリッツ)

所在地:Kennethmont, Aberdeenshire, Scotland, UK

URL:https://www.suntory.co.jp/whisky/ardmore/ (サントリー公式HP)

創業年:1898年

蒸留器:初×4基、再×4基 ※ストレートヘッド型

アルコール度数:40度

容量:700ml(瓶)

 

 

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