1817年、ドイツ西部ラインラント＝プファルツ州の小都市ビットブルクにて、ヨハン・ペーター・ヴァレンボルンによって創業された「ビットブルガー社」は、200年以上の歴史を誇る名門醸造所です。創業当初は地域密着型の醸造所でしたが、1883年にはドイツで初めて「ピルスナー」という名称を用いたとされ、ピルスナー・スタイルの先駆者として知られるようになります。鉄道網の発展に伴い、いち早く遠方への出荷を開始したことも、全国的な知名度を高める要因となりました。

ビットブルガー社のビール造りの特徴は、何よりも「品質へのこだわり」と「伝統的な製法」にあります。仕込み水にはアイフェル山地の硬水を使用しており、カルシウムやマグネシウムを豊富に含むこの水が、ピルスナー特有のシャープなキレと爽快な後味を生み出します。原材料は厳選された大麦モルト、酵母、ホップのみ。特に地元産の「グリューネスゴールド」という品種のホップを使用することで、苦味を抑えつつも華やかな香りを引き出しています。

醸造工程では、下面発酵による長期低温熟成を採用。これにより、雑味のないクリアな味わいと、繊細な香味のバランスが実現されています。主力製品である「ビットブルガー プレミアムピルス」は、淡い黄金色ときめ細かな泡立ち、フローラルでスパイシーなホップ香が特徴で、ドイツ国内外で高い評価を受けています。

また、1950年代には「Bitte ein Bit（まずはビットをどうぞ）」というキャッチコピーを導入し、ブランドイメージを確立。ドイツサッカー連盟の公式スポンサーやF1チームとの提携など、スポーツとの関わりも深く、国民的ビールとしての地位を築いてきました。現在では約70か国に輸出され、世界中のレストランやホテルで提供されるなど、グローバルブランドとしても確固たる存在感を放っています。