てんぐまい やまはいしこみ じゅんまいしゅ
2026.03.17
力強い酸と旨みが共鳴する山廃の逸品
『天狗舞 山廃仕込 純米酒』は、石川県白山市に蔵を構える「株式会社車多酒造」が長年培ってきた山廃造りの真髄を体現する一本です。山廃仕込み特有の自然乳酸菌を取り込む伝統的な酒母づくりによって、力強い酸と深い旨みが生まれ、飲むほどに奥行きが広がる重厚な味わいが特徴です。口に含むと、まず熟成を思わせる芳醇な香りが立ち上がり、続いて米の旨みがしっかりと舌に乗り、最後にはキレのある酸が全体を引き締めます。この骨太な構成こそが天狗舞の代名詞であり、山廃仕込みの魅力を最もわかりやすく伝える存在といえます。
味わいは濃醇でありながら決して重たすぎず、食中酒としての懐の深さも魅力です。旨みの強い料理や発酵食品、肉料理などにも負けない存在感を持ち、料理と酒が互いを引き立て合う豊かな時間をつくり出します。また、温度帯によって表情が大きく変わるのも特徴で、冷酒では酸が際立ち、常温では旨みがふくらみ、燗にすると香りとコクが一層深まります。特にぬる燗から上燗にかけては、山廃ならではの複雑味が柔らかく開き、天狗舞の真価が最も感じられる温度帯です。
伝統製法を守りながらも、現代の食卓に寄り添う懐の深さを持つ「天狗舞 山廃仕込 純米酒」。その一杯には、蔵人たちの技と誇り、そして山廃造りの歴史がしっかりと息づいています。
■飲み方あれこれ!!
上燗(45℃):
山廃らしい力強い酸と深い旨みが最も美しく開く温度帯。温めることで熟成感のある香りがふくらみ、骨太なコクが丸みを帯びて広がる。余韻には穏やかな酸が残り、天狗舞らしい重厚さと柔らかさが共存する味わいになる。
ぬる燗(40℃):
旨みと酸のバランスが最も整い、味わいの奥行きが自然に広がる。山廃特有の複雑味がやさしく立ち上がり、飲み疲れしない心地よさがある。料理との相性も抜群で、食中酒としての懐の深さが際立つ温度帯。
常温(20℃):
熟成香と米の旨みが素直に感じられ、天狗舞の個性が最もストレートに伝わる。酸が穏やかに立ち、濃醇な旨みがじんわりと広がる。冷やしすぎず温めすぎず、酒本来の表情を楽しみたいときに最適。
おすすめのマリアージュ
●鰤の照り焼き・銀鱈の西京焼き:
濃厚な旨みと甘辛い味付けに、山廃の酸とコクが見事に寄り添う。
●鴨ロース・牛すじ煮込み:
肉の旨みと酒の骨太さが調和し、余韻が豊かに続く。
●きのこのバター醤油炒め:
香ばしさと旨みが重なり、山廃の複雑味が引き立つ。
●熟成チーズ(コンテ、ミモレット):
熟成香と旨みの相性が抜群で、酒の奥行きがさらに深まる。
●発酵食品(ぬか漬け、味噌料理):
発酵の旨み同士が響き合い、山廃の魅力が最大限に引き出される。
▶「株式会社車多酒造」のこと
「株式会社車多酒造」は、1823年(文政6年)に石川県白山市で創業した老舗酒蔵である。加賀百万石の文化が息づく土地で、創業以来200年近くにわたり、伝統的な酒造りを守り続けてきた。特に、現在の代表銘柄として知られる「天狗舞」は、昭和後期から平成にかけて全国的な評価を高め、山廃仕込みの魅力を広く世に知らしめた存在として日本酒史に確かな足跡を残している。
「車多酒造」の歴史を語るうえで欠かせないのが、山廃仕込みへの強いこだわりである。山廃とは「山卸廃止」の略で、自然界の乳酸菌を取り込みながら酒母を育てる(※)、極めて手間と時間のかかる伝統製法だ。近代以降、多くの蔵が速醸系の酒母へ移行する中で、「車多酒造」は山廃の持つ複雑味、力強い酸、深い旨みを重視し、その技術を磨き続けてきた。特に昭和50年代以降、山廃仕込みの純米酒が全国の鑑評会や品評会で高く評価され、「天狗舞=山廃の名手」というイメージが確立した。
⇒自然界の乳酸菌を取り込みながら酒母を育てる(※)
〇車多酒造の蔵には、長年の酒造りで育まれた独自の乳酸菌・酵母の生態系が存在します。 山廃酒母は自然の微生物の力を借りるため、この“蔵付き微生物”が酒質に大きく影響します。 蔵人たちは「蔵そのものが生きている」と語るほどで、これが天狗舞の骨太で複雑な味わいを支える重要な要素になっています。
同社の酒造りの特徴は、単に山廃を守るだけではない。山廃酒母の管理には高度な微生物理解と繊細な温度・環境調整が求められるが、「車多酒造」はその技術を現代的に再構築し、伝統と科学の両面から品質を高めてきた。蔵内には長年の醸造で育まれた乳酸菌や酵母が棲みつき、これらが酒に独自の個性を与えている。いわば「蔵そのものが生きている」ような環境が、天狗舞の味わいを支えているのである。
また、「車多酒造」は原料米にも強いこだわりを持つ。山田錦をはじめとする酒造好適米を中心に、地元石川県産の五百万石なども積極的に使用し、米の特性を最大限に引き出す醸造を行っている。精米歩合に頼らず、米の旨みをしっかりと残す酒質設計は、濃醇で骨太な天狗舞のスタイルと深く結びついている。
さらに近年では、伝統的な山廃造りを軸にしながらも、新たな挑戦にも積極的だ。熟成酒の研究、香り系酵母の活用、食文化とのコラボレーションなど、現代の多様な嗜好に応える取り組みを進めている。とはいえ、根底にあるのは「旨みと酸の調和」「食事と寄り添う酒」という一貫した哲学であり、これが創業以来の「車多酒造」の精神を今に伝えている。
「株式会社車多酒造」は、伝統を守るだけでなく、その価値を現代に生かし続ける蔵である。山廃仕込みの奥深さを追求し、米と微生物の力を最大限に引き出す姿勢は、今もなお多くの日本酒ファンを魅了し続けている。
▶「株式会社車多酒造」の歴史(年表)
1823年(文政6年):
加賀国(現在の石川県白山市)にて創業。加賀百万石の文化圏に根ざし、米と水に恵まれた土地で酒造りを開始する。
明治時代(1868〜1912年):
近代化の波の中でも伝統的な酒造りを守り、地域の酒蔵として基盤を固める。山廃酒母の技術を継承し、蔵内の微生物環境が育まれていく。
昭和初期(1926〜1940年代):
山廃仕込みの技術を磨き、濃醇で骨太な酒質を特徴とする蔵として評価を高める。蔵内に棲みつく乳酸菌や酵母が酒質の個性を形成する。
1960〜1970年代(昭和後期):
「天狗舞」ブランドの確立が進み、山廃仕込みの純米酒が蔵の代表的な酒質として認知され始める。伝統製法を守りながら品質向上に取り組む。
1980年代(昭和後期):
全国新酒鑑評会や品評会で高い評価を受け、天狗舞の名が全国に広まる。山廃仕込みの魅力を再評価する動きの中で、蔵の存在感が強まる。
1990年代(平成初期):
純米酒市場の拡大とともに、濃醇旨口の酒質が支持され、天狗舞が全国的な人気銘柄となる。食中酒としての位置づけが確立する。
2000年代(平成中期):
伝統的な山廃造りを軸にしつつ、熟成酒や香り系酵母の研究など、新たな挑戦を開始。品質管理の高度化が進む。
2010年代(平成後期):
国内外で日本酒人気が高まる中、天狗舞は「山廃の象徴」として国際的にも評価される。食文化とのコラボレーションやイベント参加も増加する。2020年代(令和):
伝統と革新を両立させる蔵として、山廃仕込みの価値を現代に伝える取り組みを継続。地域との連携や新たな酒質の開発にも積極的に取り組む。
Data
生産者:株式会社車多酒造
住所:石川県白山市木津町7
創業:1823年(文政6年)
TEL:076-275-1165
URL:https://www.tengumai.co.jp (車多酒造公式サイト・直接注文可)
特定名称:純米酒
原料米&精米歩合:麹米、掛米ともに五百万石60%
アルコール度数:15.9%
酵母:協会9号
日本酒度:+3
酸度: 2.0
容量: 720ml(瓶)、1800ml(瓶)
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