じょうきげん やまじゅんぎん やまはいじゅんまいぎんじょう
2026.04.21
米の旨味を引き出す古式製法の魅力
石川県加賀市の老舗・鹿野酒造が手がける『常きげん 山純吟 山廃純米吟醸』は、霊峰白山の伏流水と加賀平野で育まれた米を用いて醸される一本です。蔵元は山廃仕込みを得意とし、この酒も自然の乳酸菌を活かす古式製法「山卸廃止もと(山廃)」で仕込まれています。通常よりも時間と手間をかけて発酵を進めるため、酒質には深いコクと骨格のある旨味が生まれます。
味わいは、上品でありながら力強い酸味とコクが調和し、後味には鋭いキレが感じられるのが特徴です。純米吟醸らしい香りの華やかさは控えめで、むしろ米の旨味と山廃特有の複雑さが前面に出るタイプ。日本酒度+3、酸度1.6、アルコール度数16%という数値からも、スッキリとした辛口の中にしっかりとした酸が存在する酒質がうかがえます。
飲み方としては、冷酒でキレの良さを楽しむのはもちろん、ぬる燗にすると酸味がまろやかになり、旨味がふくらむため、温度帯によって表情が変わるのも魅力です。蔵元も冷酒・ロック・ぬる燗を推奨しており、幅広い楽しみ方ができます。
料理との相性も良く、山廃の力強さがあるため、肉料理や濃い味の料理、発酵食品などと特に好相性とされています。実際にステーキとのペアリングが推奨されており、旨味の強い料理に負けない存在感を持つ酒です。
総じて、「常きげん 山純吟 山廃純米吟醸」は、山廃仕込みの魅力をしっかりと感じられつつ、純米吟醸の上品さも併せ持つ、力強さと繊細さが共存する一本です。食中酒としても優秀で、特に旨味の濃い料理と合わせると、その真価がより際立ちます。
■飲み方あれこれ!!
ぬる燗(40℃):
山廃由来の酸がほどよく丸みを帯び、米の旨味がふくらむ最も安定した温度帯です。コクが柔らかく広がり、深みのある味わいが穏やかにまとまって、食中酒としての魅力が際立ちます。
涼冷え(15℃):
キレの良さが際立ち、酸がシャープに感じられる爽快な飲み口になります。純米吟醸らしい上品さがクリアに表れ、辛口のすっきり感を楽しめる温度帯です。
常温(20℃):
香りと旨味のバランスが自然に広がり、山廃の複雑さと純吟の繊細さが共存します。落ち着いた味わいで、飲むほどに奥行きが感じられる表情豊かな飲み心地です。
お勧めのマリアージュ:
●豚の角煮:
濃厚な旨味と脂に対し、山廃の酸が脂を切り、酒のコクが料理の甘辛い味わいと調和する。
●白身魚の刺身:
涼冷えで飲むと酸がシャープに働き、淡泊な魚の旨味を邪魔せず、後味をすっきりと整える。
●カマンベールチーズ:
常温で広がるコクと旨味が、チーズのミルキーさと発酵の香りに寄り添い、双方の風味を引き立てる。
●きのこのバターソテー:
山廃の複雑さがきのこの香りとよく馴染み、バターのコクを受け止めつつ後味を重くしない。
●ローストビーフ:
肉の旨味と脂に対し、酒の酸がバランスを整え、ぬる燗では旨味がふくらんで相乗効果が生まれる。
▶「鹿野酒造株式会社」のこと
「鹿野酒造株式会社」は、石川県加賀市八日市町に蔵を構える酒蔵で、創業は1819年(文政2年)とされています。加賀の地で200年以上にわたり酒造りを続けてきた歴史ある蔵で、もともとは地主として稲作や茶の栽培を行っていた家が、米の大豊作を祝ったことをきっかけに酒造りを始めたと伝えられています。代表銘柄「常きげん」の名は、ある年の大豊作を村人たちと祝う席で、4代目当主が詠んだ一句「八重菊や
酒もほどよし 常きげん」に由来し、いつまでも機嫌よく、豊作と喜びが続くようにとの願いが込められています。
酒造りの基盤となる仕込み水には、霊峰白山からの伏流水が湧き出る「白水の井戸」が用いられています。この井戸は古くから蓮如上人ゆかりの名水として知られ、生活水としても親しまれてきました。昭和期に一度枯渇したものの、1999年に再興され、現在は蔵の酒造りを支える重要な水源となっています。白山の伏流水は軟水で、柔らかく清らかな味わいを生むことから、酒質にも透明感と滑らかさを与えるとされています。
また、同社は酒米へのこだわりも強く、自社田で山田錦を栽培しています。加賀平野の恵みを受けた土壌と白山の水を引き込んだ田んぼで育つ米は、酒造りに適したふくよかな旨味を持ち、蔵の味の基礎を形作っています。すべてを自社栽培で賄うわけではないものの、地元の米を大切にする姿勢は一貫しており、五百万石など加賀産の酒米も積極的に使用しています。
「鹿野酒造」の酒造りの大きな特徴として、山廃仕込みを得意とする蔵である点が挙げられます。山廃は自然の乳酸菌を活かす伝統的な製法で、手間と時間がかかる一方、力強い酸と深いコクを生む技法です。同蔵では名杜氏として知られる農口尚彦氏が1998年に招かれ(※)、その技術が継承されてきました。現在は木谷太津男杜氏がその技を受け継ぎ、丁寧な手造りによる酒造りを続けています。
⇒農口尚彦氏が1998年に招かれ(※)
〇1998年(平成10年)、能登杜氏四天王の一人として知られる農口尚彦氏が杜氏として蔵に迎えられました。 農口氏は「酒造りの神様」と称されるほどの名匠で、その技術が加わったことで蔵の酒質は大きく向上し、 「常きげん 山廃仕込み純米酒」などの代表作が誕生しました。 この出来事は蔵の歴史における大きな転機とされています。
こうした水・米・技の三位一体のこだわりが、「常きげん」をはじめとする銘柄に深い味わいと個性を与えています。加賀の食文化に寄り添い、飲む人を穏やかな気持ちにさせる酒を目指す姿勢は、創業から変わらず受け継がれている蔵の精神といえます。
▶「鹿野酒造株式会社」の歴史(年表)
1819年(文政2年):
「鹿野酒造株式会社」の創業年であり、加賀市八日市町にて酒造りが始まる。地主として地域の農業と文化を支えてきた家が、米の豊作を祝う席をきっかけに酒造業へと踏み出したと伝えられている。
19世紀前半(江戸後期):
創業地である八日市町周辺は、かつて「額田の庄」と呼ばれた歴史ある土地で、豊穣の地として知られていた。この文化的背景が蔵の酒造りにも影響を与え、地域に根ざした酒文化が形成されていく。
4代目当主の時代(年代不詳・江戸末期〜明治初期と推定):
代表銘柄「常きげん」の名が誕生する。大豊作を祝う席で4代目当主が詠んだ一句「八重菊や 酒もほどよし 常きげん」に由来し、喜びと豊作への願いが込められた銘柄として定着する。
昭和期(20世紀中頃):
仕込み水として使用されてきた「白水の井戸」が一時枯渇する。しかし、この名水は蔵にとって不可欠であり、後に復活させる取り組みが進められる。
1999年(平成11年):
枯渇していた「白水の井戸」が再興され、再び仕込み水として使用可能となる。白山の伏流水を源とするこの水は、蔵の酒質を支える重要な要素として復活を遂げる。
2010年(平成22年):
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で蔵が取り上げられ、全国的な注目を集める。品質本位の酒造りと伝統技術が広く評価される契機となる。
現在(21世紀):
「鹿野酒造株式会社」は、白山の伏流水「白水の井戸」と自社栽培の山田錦を用い、山廃仕込みを得意とする蔵として知られる。200年以上の歴史を背景に、伝統と品質を重んじた酒造りを続けている。
Data
生産者:鹿野酒造株式会社
住所:石川県加賀市八日市町イ6
創業: 1819年(文政2年)
TEL:0761-74-1551
URL:http://www.jokigen.co.jp (鹿野酒造公式サイト・直接注文可)
特定名称:純米吟醸酒
原料米&精米歩合:麹米山田錦・掛け米美山錦ともに55%
アルコール度数:16%
酵母: ―
日本酒度:+3.0
酸度:1.6
容量: 720ml(瓶)、1800ml(瓶)
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