Coedo Beer Kyara
2026.01.14
ラガー酵母が奏でる繊細な芳醇さ
『COEDOビール 伽羅 -Kyara-』は、コエドブルワリーの定番ラインナップの中でも“香りの奥行き”と“モルトの深み”を最もバランスよく表現した一本で、スタイルとしてはインディア・ペールラガー(IPL)に分類されます。名前の「伽羅」は香木の最高級品を指す言葉で、その名が示す通り、香りの豊かさと複雑さを重視した設計が特徴です。
グラスに注ぐと、琥珀色に近い深いゴールドが輝き、光の角度によっては赤みを帯びたハイライトが見え隠れします。泡はきめ細かく、クリーミーに立ち上がり、液色とのコントラストが美しく、視覚的にも“伽羅”という名のイメージを裏切りません。外観からすでに、モルトの厚みとホップの華やかさが共存することを予感させます。
香りは、まずアロマホップ由来の柑橘やハーブ、スパイスを思わせる爽やかなトップノートが広がり、その奥にキャラメルモルトの甘い香りや、ほのかなロースト感が重なります。ラガー酵母によるクリーンな発酵香が全体を引き締め、香りのレイヤーが非常に整った印象を与えます。エールのような華やかさと、ラガーの透明感が同時に感じられる点が、伽羅の大きな魅力です。
口に含むと、まずホップの心地よい苦味が軽やかに広がり、続いてモルトの甘みとコクがじんわりと追いかけてきます。苦味は強すぎず、余韻はすっきりと切れ上がるため、飲み疲れしないバランスの良さがあります。ラガーらしいクリスプな飲み口と、IPA的なホップの存在感が見事に融合しており、飲むたびに香りと味わいの変化を楽しめる設計です。
「伽羅 -Kyara-」は、クラフトビールの多様性を象徴するような一本で、ホップの華やかさ、モルトの深み、ラガーの透明感という三つの要素が高いレベルで調和しています。派手さよりも“香りの品格”を重視したビールであり、コエドブルワリーの技術と美意識が凝縮された、非常に完成度の高いインディア・ペールラガーです。
■飲み方あれこれ!!
飲み頃温度:7~10℃位で。「COEDOビール 伽羅 -Kyara-」は“インディア・ペールラガー(IPL)”という、ホップの華やかさとラガーの透明感を併せ持つスタイルです。香りとキレの両立が魅力なので、冷やしすぎず、温めすぎない温度帯が最適です。
おすすめのマリアージュ:
●ローストチキン・グリル料理:
香ばしさとホップのアロマが重なり、余韻が豊かに。
●ガーリックシュリンプ:
にんにくの香りとホップのスパイシーさが心地よく調和。
●セミハードチーズ(ゴーダ、コンテ):
ナッティな旨味がモルトの甘みとリンクし、味わいに奥行きが生まれます。
●炙りサーモン・照り焼き系の和食:
甘辛いタレや脂の旨味が、伽羅のモルト感と苦味に寄り添います。
■その他のラインナップ
▶「株式会社協同商事コエドブルワリー」のこと
「株式会社協同商事コエドブルワリー」は、埼玉県川越市を拠点とするクラフトビールメーカーで、その歩みは1970年代の有機農業への取り組みにまで遡ります。母体である協同商事は、当初「安心・安全・美味しい」を掲げて農業に携わり、川越の土壌を守るために麦を緑肥として栽培していました。しかし、この麦は土づくりのために鋤き込まれるだけで、収穫後の活用方法がありませんでした。そこで「この麦をビールにできないか」という発想が芽生え、これがコエドビール誕生の原点となりました
。
1994年の酒税法改正で小規模醸造が可能になり、いわゆる「地ビールブーム」が到来します。しかし当時は技術不足や高価格が問題となり、ブームは急速に下火となりました。協同商事もその影響を受けながらも、1996年に発泡酒製造免許を取得し、「コエドブルワリー」を開設。試行錯誤の末、規格外で廃棄されていた川越産さつまいもを副原料にした「サツマイモラガー」の醸造に成功します。これが後の代表作「紅赤
-Beniaka-」へとつながり、コエドの独自性を象徴する存在となりました 。
その後も「コエドブルワリー」は着実に成長を続け、2009年にはアメリカでの販売を開始し、現在では世界28カ国へ輸出される国際的ブランドへと発展しています
。2016年には醸造所を東松山市へ移転し、より高度な設備と品質管理体制を整備。2020年には川越市にブルワリーレストランを開設し、地域文化とビール体験を結びつける場づくりにも力を入れています
。
「コエドブルワリー」のビール造りの特徴は、まず「農」と深く結びついた哲学にあります。原料の背景や土地の物語を大切にし、川越の農産物を活かしたビール造りを続けてきました。特に紅赤に象徴されるように、地元のさつまいもを副原料に用いる発想は、農業会社ならではの視点から生まれたものです
。
また、「コエドブルワリー」では「Beer Beautiful」を掲げ、ビールの多様性と美しさを表現することを重視しています。定番ラインナップには「毬花」「瑠璃」「伽羅」など日本の伝統色を冠した6種があり、それぞれが異なるスタイルと個性を持ちます。味わいだけでなく、色や香り、文化的背景まで含めてビールを楽しむという姿勢がブランド全体に貫かれています
。
さらに、環境配慮も大きな特徴です。麦芽粕の飼料化、井戸水の利用、排水の浄化など、持続可能な醸造を実践しており、地域資源を循環させる取り組みは国内クラフトブルワリーの中でも先進的です
。
総じて、「コエドブルワリー」は「農業の視点」「地域文化」「クラフトマンシップ」「持続可能性」を融合させた独自のビール造りを続けてきたブルワリーです。その歩みは、日本のクラフトビール文化の成熟を象徴する存在と言えるでしょう。
▶「株式会社協同商事コエドブルワリー」の歴史(年表)
1970年代 :
協同商事の母体が「安心・安全・美味しい」を掲げ、有機農業に取り組み始める。川越の土壌を守るため、緑肥として麦を栽培する農法に携わり、これが後のビール造りの着想につながる。
1975年(昭和50年) :
生協向けの青果物産直事業を開始し、農業流通の基盤を築く。
1982年(昭和57年) :
株式会社協同商事を設立。青果物流通を中心に事業を拡大し、後のビール事業の母体となる。
1994年(平成6年) :
酒類輸入販売免許を取得。酒類分野への参入準備が整う。同年、酒税法改正により「地ビールブーム」が到来し、後のクラフトビール事業の契機となる。
1996年(平成8年) :
発泡酒製造免許を取得し、コエドブルワリーを開設。川越産さつまいもを活用した「サツマイモラガー」の醸造に成功し、後の代表作「紅赤 -Beniaka-」の原型が誕生する。
1997年(平成9年) :
ビール・発泡酒販売免許を取得し、三芳工場を開設。生産体制が強化され、ブランドとしての基盤が固まる。
2006年(平成18年) :
クラフトビールブランド 「COEDO」 を正式に創設。日本の伝統色を冠したラインナップを展開し、ブランドイメージを確立する。
2009年(平成21年) :
アメリカでの販売を開始。国際市場への本格進出が始まり、海外評価を獲得していく。
2010年(平成22年) :
上海・オーストラリアなど海外展開をさらに拡大。COEDOが世界的クラフトビールブランドとして認知され始める。
2015年(平成27年) :
川越市に COEDO Craft Beer 1000 Labo を開設。研究開発・ブランド発信の拠点として機能する。
2016年(平成28年) :
三芳工場を移転し、埼玉県東松山市に新醸造所を開設。最新設備を導入し、品質管理と生産能力が大幅に向上する。
2020年(令和2年) :
川越市の商業施設 U_PLACE に COEDO BREWERY THE RESTAURANT を開設。ブルワリーと食文化を結びつける体験型拠点として注目を集める。
2021年(令和3年) :
さいたま市に有機農産物専門店「ORGANIC & CO.」を開設。農業と食文化を軸にした事業をさらに広げる。
Data
製造元:株式会社協同商事コエドブルワリー
住所:埼玉県入間郡三芳町上富385-10
創業:1996年
TEL:049-259-7735
URL:https://coedobrewery.com/ (直接注文可)
スタイル:インディア・ペール・ラガー(IPL)
原料: 麦芽、ホップ
アルコール度数:5.5%
内容量:333ml(瓶、缶)
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