せんきん もだん いちしき(ひいれ)
2026.04.18
メロンや洋梨を思わせる華やかな香りの世界
『仙禽 モダン 壱式(火入)』は、栃木県さくら市の酒蔵・せんきんが手がける“モダン”シリーズの火入れバージョンで、生酛造り・無濾過原酒・低アルコール(13%)という特徴を備えた日本酒です。火入れ酒でありながら驚くほどみずみずしく、まるで生酒のようなフレッシュ感を楽しめる点が最大の魅力とされています。香りはメロンや洋梨、リンゴなどの瑞々しい果実香が中心で、そこに生酛由来の乳酸的ニュアンスやミネラル感が重なり、複雑で奥行きのある香りを形成します。
味わいは、山田錦の優しい甘みとふくよかな旨味が広がり、キレの良い酸が全体を引き締めることで、軽快でクリアな飲み心地を実現しています。アルコール度数が低めであることも相まって、重さがなくスイスイと飲める仕上がりです。後口はクリーンで、甘みを引きずらず、酸と旨味が溶け合うように消えていくため、食中酒としても優秀です。特に柑橘を使った白身魚料理など、素材の繊細さを活かす料理との相性が良いと評価されています。
また「仙禽 モダン 壱式(火入)」は、蔵が2024年から掲げるコンセプト「江戸返り」の象徴的な一本でもある。江戸時代の文献をもとにした伝統技法を現代に蘇らせ、全量生酛造り・有機農業・木桶仕込みといった自然回帰的な酒造りを徹底する姿勢が、このモダンシリーズにも色濃く反映されています。原料米には地元さくら市産の山田錦を使用し、米と水の産地を統一する“ドメーヌ化”を実現。テロワールを重視した酒造りによって、土地の個性がしっかりと感じられる味わいに仕上がっています。
■飲み方あれこれ!!
涼冷え(15℃):
果実香が最もバランスよく立ち上がり、メロンや洋梨のような香りが柔らかく広がります。酸がシャープになりすぎず、甘みと旨味の輪郭がきれいに感じられ、軽快で透明感のある味わいが際立ちます。
花冷え(10℃):
香りが引き締まり、よりクリアでスタイリッシュな印象に変化します。酸がスッと伸び、キレの良さが際立つため、食中酒としての万能性が高まります。フレッシュさを強調したいときに最適です。
常温(20℃):
山田錦の優しい甘みと生酛由来の旨味がふくらみ、香りに奥行きが生まれます。冷酒では感じにくいミネラル感や複雑味が現れ、より立体的な味わいを楽しめます。
おすすめのマリアージュ
●白身魚のカルパッチョ:
柑橘の酸味とオイルのまろやかさが、酒のフレッシュな酸と果実香に寄り添い、透明感のある味わいを引き立てる。
●鶏むね肉の塩麹焼き:
淡い旨味とやさしい甘みが、仙禽の軽やかな旨味と調和し、後口のキレをより心地よく感じられる。
●モッツァレラチーズとトマトのカプレーゼ:
ミルキーさと酸味のバランスが、酒の果実香と酸とよく合い、爽やかな余韻を生む。
●白カビ系チーズ(カマンベールなど):
常温帯で飲む際に特に相性が良く、酒の旨味とチーズのコクが重なり、味わいに奥行きが生まれる。
▶「株式会社せんきん」のこと
「株式会社せんきん」は、栃木県さくら市で1806年(文化3年)に創業した歴史ある酒蔵です。江戸時代から地域の酒造りを担ってきましたが、日本酒需要の低迷により2008年に一度倒産の危機に直面しました。しかし、長年の取引先の支援を受けて新会社として再出発し、11代目蔵元・薄井一樹氏と弟の薄井真人氏の兄弟が中心となって大胆な改革を進めたことで、現代日本酒を代表する蔵へと生まれ変わりました。
再生後の大きな特徴は、ワインの世界で用いられる「ドメーヌ」思想を日本酒に導入した点です。蔵・田んぼ・仕込み水がすべて同一の水脈上にあるという、日本初のドメーヌ型醸造を実現しました。鬼怒川水系の超軟水を用い、その水脈上で自ら育てた米を使うことで、土地の個性=テロワールを酒に明確に反映させています。使用する酒米も亀ノ尾・山田錦・雄町の3種に絞り込み、自社および契約農家で栽培する徹底ぶりです。
さらに「せんきん」の酒造りを象徴するのが、全量生酛造りへの転換です。生酛は江戸時代に確立された伝統技法で、自然の微生物の働きを最大限に活かす製法です。同社はこの技法を現代に蘇らせる「江戸返り」という理念を掲げ、原料米の有機栽培や木桶仕込みなど、自然と調和した酒造りを追求しています。特に古代亀ノ尾の原原種を復活(※)させ、それを主力米として育てる取り組みは、他に類を見ない独自性を持っています。
⇒古代亀ノ尾の原原種を復活(※)
〇せんきんは、現代では失われつつあった古代「亀の尾」のDNAを取り戻す“原原種管理”に成功しました。これは酒米の歴史的価値を守るだけでなく、蔵の酒造りの核となる大きな成果であり、同社の象徴的なエピソードとして語られています。
こうした哲学のもと生まれる酒は、従来の日本酒のイメージを覆す軽快でフルーティーな味わいが特徴で、若い世代やワイン愛好家からも高い支持を得ています。「モダン」(※2)「クラシック」「ナチュール」など多彩なシリーズを展開し、ヴィンテージや畑の違いで楽しむという新しい日本酒の価値観を提示した点も革新的です。
⇒(せんきん)「モダン」(※2)
〇「仙禽 モダン」には零式から参式までの4種類があり、味わいの方向性を段階的に変えた構成になっています。それぞれ、
・零式=生酒(フレッシュ:最も軽快・シャープ・ミニマル)
・壱式=火入れ(安定:モダンらしさの中心。ジューシー&バランス型)
・弐式=おりがらみ(旨味・まろやか:酸のレイヤーが深く、複雑性が増す)
・参式=発泡原酒(シュワッと強め:最も濃密・重心が低い・旨味が厚い)
となっており、“味の濃淡”ではなく“製法の違い”で分かれているシリーズとなっている。
「株式会社せんきん」は、200年以上の歴史を持ちながら、伝統と革新を融合させた酒造りで日本酒の未来を切り拓く蔵元といえます。
▶「株式会社せんきん」の歴史(年表)
1806年(文化3年):
「仙禽酒造」として創業し、栃木県さくら市で日本酒造りを開始した。江戸時代から続く地域の酒蔵として、地元に根ざした酒造りを行ってきた。
1972年(昭和47年):
日本酒需要がピークを迎えた時期であり、全国的に酒蔵数が最も多かった。しかしその後は需要低下が続き、同社も例外ではなく経営環境が厳しくなっていった。
2008年(平成20年):
日本酒需要の落ち込みにより「仙禽酒造」は倒産。だが、長年の取引先の支援を受け、新会社「株式会社せんきん」が設立され、ブランド再生と事業再建が始まった。この年を境に、蔵は大きな転換期を迎えることとなる。
2008年以降(平成20年代):
11代目蔵元・薄井一樹氏と杜氏である弟・薄井真人氏が中心となり、酒造りの方向性を大きく刷新。ワインの概念である“ドメーヌ”思想を日本酒に導入し、米・水・土地の一体化を目指す酒造りへと舵を切った。
2010年代:
自社および契約農家による無農薬・無化学肥料の自然栽培米の使用を本格化。仕込み水には同じ水脈の超軟水を用い、テロワールを明確に表現するスタイルを確立していく。また、亀ノ尾の原原種管理に成功し、主力米として育成する取り組みを進めた。
2020年代前半:
“江戸返り”を掲げ、江戸時代の伝統技法を現代に蘇らせるプロジェクトを推進。全量生酛造り、酵母無添加(天然酵母)醸造、木桶仕込みなど、自然と調和した酒造りを徹底する姿勢がより明確になる。
2024年(令和6年):
20年ぶりの大規模リブランディングを実施。「江戸返り」を中心概念に据え、全量有機栽培米への転換や伝統技法のさらなる探究を進める。地域農家との協働による“オーガニック・タウン”構想も推進(※3)し、酒造りを通じた地域環境の保全にも取り組む。
⇒“オーガニック・タウン”構想も推進(※3)
〇せんきんは酒造りにとどまらず、地元農家と協力して地域全体を有機栽培の土壌へと変えていく「オーガニック・タウン」構想を推進しています。酒蔵が地域の第一次産業を支え、未来の子どもたちの食の安全にも貢献しようとする取り組みは、社会的にも大きな意義を持つエピソードです。
Data
生産者:株式会社せんきん
住所:栃木県さくら市馬場106
創業:1806年(文化3年)
TEL:028-681-0011
URL: http://www.senkin.co.jp/ (せんきん公式サイト・直接注文不可)
特定名称:―
原料米&精米歩合:麹米・掛米ともに山田錦(栃木県さくら市産)精米歩合は非公開
アルコール度数:13%
酵母: ―
日本酒度: ―
酸度: ―
容量: 720ml(瓶)、1800ml(瓶)※1800mlは主に飲食店専用販売
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