あまぶき きもと じゅんまいだいぎんじょう おまち
2026.06.07
雄町米のふくらみと生酛造りが織りなす奥深い味わい
『天吹 生酛 純米大吟醸 雄町』は、雄町米の持つふくらみと生酛造りならではの奥深さを、天吹酒造の技が丁寧に引き出した一本です。古来の製法である生酛仕込みによって、自然の乳酸菌が育む複雑で立体的な味わいが生まれ、純米大吟醸の透明感と見事に調和します。口に含むと、雄町米特有の豊かな旨味がゆっくりと広がり、同時に生酛由来の力強い酸が輪郭を与え、味わいに芯を通します。
香りは華やかさと落ち着きが共存し、メロンや白い花を思わせる吟醸香が穏やかに立ち上がります。派手すぎず、しかし確かな存在感を持つ香りは、食事と寄り添う上質なバランスを備えています。口当たりは柔らかく、雑味のないクリアな質感が続き、後半にはキレの良い余韻が心地よく残ります。雄町米のふくよかさと生酛の力強さが重なり合い、飲み進めるほどに表情を変える奥行きの深さが魅力です。
冷酒では香りの上品さと透明感が際立ち、常温では旨味がより開き、複雑さが増します。食中酒としても優秀で、白身魚の刺身や塩味の焼き物、出汁を使った料理と合わせると、その繊細な味わいが一層引き立ちます。伝統と革新が共存する天吹酒造らしい、気品と力強さを併せ持つ純米大吟醸です。
■飲み方あれこれ!!
涼冷え(15℃):
上品な吟醸香が最もバランスよく立ち上がり、雄町米のふくらみと生酛由来の酸がきれいに調和する温度帯です。透明感が際立ちつつ旨味もほどよく開き、食事と合わせても主張しすぎず寄り添う心地よさがあります。
常温(20℃):
冷温では控えめだった雄町米の豊かな旨味がしっかりと広がり、生酛らしい複雑さと奥行きがより深く感じられます。香りも落ち着きながらふくらみを増し、味わいの層が厚くなるため、じっくり味わいたい時に向いています。
花冷え(10℃):
キリッとした清涼感が加わり、香りは控えめながらも品のある吟醸香が静かに立ち上がります。酸が引き締まり、後味のキレが際立つため、軽快で洗練された印象が強まり、最初の一杯としても心地よく楽しめます。
おすすめのマリアージュ
●白身魚の昆布締め:
上品な旨味とほのかな塩気が、雄町米のふくらみと生酛由来の酸をより立体的に引き出します。酒の透明感が昆布の旨味と重なり、余韻が長く続きます。
●鶏の塩焼き(柚子胡椒添え):
鶏の脂の甘みを生酛の酸が心地よく切り、柚子胡椒の香りが吟醸香と調和します。旨味の層が厚くなり、食中酒としての魅力が際立ちます。
●出汁巻き卵:
出汁のやさしい旨味と卵の甘みが、雄町米のふくよかさとよく寄り添います。酒の柔らかな口当たりが料理の丸みを引き立て、穏やかで調和のある味わいになります。
●真鯛の塩焼き:
香ばしい皮目と淡白な身の旨味が、酒の上品な吟醸香と美しく重なります。後味のキレが真鯛の旨味を引き締め、清々しい余韻を残します。
●湯豆腐(塩+少量の柑橘):
豆腐のやさしい甘みと出汁の旨味が、酒の透明感と酸を柔らかく包み込みます。柑橘の香りが吟醸香を引き立て、清らかな印象が際立ちます。
▶「天吹酒造合資会社」のこと
「天吹酒造合資会社」は、佐賀県三養基郡みやき町に蔵を構える歴史ある酒蔵で、創業は元禄年間(1688年)と伝えられています。江戸時代から続く長い歴史の中で、地域の風土と水に寄り添いながら酒造りを磨き続け、現在まで一貫して品質本位の姿勢を守り続けてきました。筑後川水系の清らかな水と、肥沃な佐賀平野で育つ良質な酒米に恵まれた環境は、同社の酒造りにとって大きな強みとなっています。
天吹酒造の特徴として特筆すべきは、「花酵母」を積極的に取り入れた(※)酒造りです。バラ、ひまわり、いちごなど多様な花から分離された酵母を使うことで、華やかで個性豊かな香りを持つ日本酒を生み出してきました。花酵母の魅力を最大限に引き出すため、低温発酵や丁寧な麹造りを徹底し、香りと味わいの調和を追求する姿勢が蔵の個性を形づくっています。また、伝統的な生酛造りにも取り組み(※2)、自然の乳酸菌がもたらす複雑で奥深い味わいを現代的な感性と融合させるなど、革新と伝統を両立させた酒造りが特徴です。
⇒「花酵母」を積極的に取り入れた(※)
〇「天吹酒造」が持つエピソードとしてまず挙げられるのが、花から採取した“花酵母”を日本酒造りに本格導入した先駆者である点です。バラ、ひまわり、いちごなど多様な花由来の酵母を使い、華やかで個性豊かな香りを持つ酒を生み出したこの取り組みは、当時としては非常に大胆で革新的なものでした。東京農業大学花酵母研究会との連携を深めながら、発酵管理の難しさを克服し、花酵母の魅力を最大限に引き出したことで、天吹の名は全国に広まり、蔵の象徴的なスタイルとして確立されました。
⇒伝統的な生酛造りにも取り組み(※2)
〇自然の乳酸菌を育てる生酛は手間と時間がかかり、現代では敬遠されがちな製法ですが、天吹酒造はその奥深い味わいに着目し、現代的な感性と技術を融合させて復活させました。これにより、力強い酸と複雑な旨味を持つ酒が生まれ、花酵母とは異なる魅力を持つラインナップが加わりました。
さらに、天吹酒造は食中酒としてのバランスを重視し、香りが華やかでありながらも料理と寄り添う上質な味わいを目指しています。米の旨味を丁寧に引き出しつつ、後味のキレや透明感を大切にすることで、飲み飽きしない酒質を実現しています。地域の自然と伝統を背景にしながらも、新しい挑戦を恐れない姿勢が、天吹酒造の日本酒を唯一無二の存在へと高めています。
▶「天吹酒造合資会社」の歴史(年表)
1688年(元禄元年):
佐賀県三養基郡みやき町にて創業し、酒造業を開始する。筑後川水系の良質な水と肥沃な土地に恵まれ、地域に根ざした酒造りの基盤が築かれる。
江戸後期(1800年代前半):
地域の米作りとともに発展し、地元の需要に応える清酒蔵として成長する。伝統的な手造りの技術が確立され、蔵の酒質が評価され始める。
明治時代(1868〜1912年):
酒造技術の近代化が進む中、蔵の設備も徐々に整備される。地域の商人や農家との結びつきが強まり、地酒としての存在感を高める。
大正時代(1912〜1926年):
「天吹」の名が広く知られるようになり、蔵のブランドとして定着する。品質向上のための麹造りや発酵管理がさらに洗練される。
昭和中期(1950年代):
戦後の混乱期を乗り越え、酒造りを再開。地域の食文化とともに親しまれる酒として復興し、安定した生産体制が整う。
昭和後期(1970〜1980年代):
吟醸酒ブームの到来とともに、香り高い酒造りへの取り組みが強化される。蔵独自の酵母研究が進み、後の花酵母活用の基礎が築かれる。
1990年代(平成初期):
東京農業大学花酵母研究会との連携により、バラやひまわりなどの「花酵母」を使った酒造りを本格化。華やかな香りを持つ日本酒として注目を集める。
2000年代(平成中期):
花酵母シリーズが全国的に評価され、蔵の代表的な特徴として定着する。伝統的な生酛造りにも再び取り組み、味わいの幅を広げる。
2010年代(平成後期):
国内外の鑑評会で受賞を重ね、品質の高さが広く認められる。食中酒としてのバランスを重視した酒造りが評価され、飲食店からの支持も高まる。
2020年代(令和):
伝統と革新を両立させた酒造りを継続し、花酵母・生酛・雄町など多様なテーマの酒を展開。地域の自然と文化を背景に、全国的な人気蔵として存在感を強めている。
Data
生産者:天吹酒造合資会社
住所:佐賀県三養基郡みやき町東尾2894
創業:1688~1704年(元禄年間)
TEL:0942-89-2001
URL:https://www.amabuki.co.jp (天吹酒造公式サイト・直接注文可)
特定名称:純米大吟醸酒
原料米&精米歩合:麴米・掛米ともに雄町40%
アルコール度数:16%
酵母:シャクナゲの花酵母
日本酒度:+3
酸度: 1.9
容量: 720ml(瓶)、1,800ml(瓶)
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