〇現社長・西陽一郎氏が東京農業大学在学中、4年生の時に開発したのが「富乃宝山」です。 芋焼酎に吟醸酵母を使い、低温発酵でフルーティな香りを引き出すという革新的な手法を採用。バーカウンターにも似合う洗練された芋焼酎を目指し、従来の「重厚でクセのある芋焼酎」のイメージを一新しました。この挑戦が2000年代の芋焼酎ブームを牽引し、若者や女性にも焼酎を広めるきっかけとなりました。

〇西酒造は鹿児島にとどまらず、世界へと酒造りのフィールドを広げています。 鹿児島県内にウイスキーの蒸留所と日本酒蔵を新設。ニュージーランド・マーティンボロではワイン醸造にも着手し、「グラッドストーン アーラー」というワイナリーを取得。焼酎、日本酒、ウイスキー、ワインという4ジャンルを職人的スタイルで手がける蔵元は、国内外でも極めて稀です

1845年（弘化2年）：

鹿児島県日置市吹上町与倉にて、初代・西助左衛門が焼酎造りを開始。「西酒造株式会社」の前身となる酒蔵が創業される。

1949年（昭和24年）：

戦後の混乱期を経て、法人として「西酒造株式会社」が設立される。地元に根ざした焼酎造りを継続し、地域に愛される蔵元としての基盤を築く。

1998年（平成10年）：

七代目蔵元・西陽一郎が代表に就任。焼酎の品質向上とブランド力強化に取り組み、全国展開を視野に入れた経営改革を進める。

2000年（平成12年）：

「富乃宝山」を発売。フルーティーで洗練された味わいが話題を呼び、芋焼酎のイメージを一新。全国的な芋焼酎ブームの火付け役となる。

2005年（平成17年）：

自社農場「屋根のない蔵」を開設。焼酎の原料であるさつまいも「黄金千貫」の栽培から手がけ、原料の品質管理を徹底する体制を整える。

2010年代：

焼酎の多様化に対応し、麦焼酎「一粒の麦」や米焼酎「天使の誘惑」など、原料や製法にこだわった新商品を次々と展開。国内外での評価を高める。

2020年（令和2年）：

伝統と革新を融合させた酒造りを継続しつつ、SDGsや環境配慮型の取り組みにも注力。地域との共生を重視した経営方針を打ち出す。